世界はシリコンバレーを中心に動いている

ヘタをすると既存産業は惨敗してしまう

WiL共同代表の伊佐山元氏に話を聞いた(撮影:今井康一)
WiLは昨年12月、ソニーとの合弁会社「Qrio(キュリオ)」の設立を発表。その第一弾の商品であるスマートロックは9月7日にアマゾンで市販される予定だ。
WiL共同代表の伊佐山元氏は、こうした大企業とベンチャーの取り組み「日本型イノベーション」を推進している。なぜ日本型イノベーションが有効なのか、シリコンバレー周辺では自動車、IoTなど、日本がこれまで得意としてきたハードウエアビジネスが勃興しているが、この「日本型イノベーション」は世界で戦えるのかどうか。話を聞いた。今回はその後編。
前編= 大企業からイノベーションが生まれない理由

 

山田:シリコンバレー的なメソッドを日本にうまく適合させていくのが日本型イノベーションだと思います。これは日本特有でしょうか。ほかの国の企業のシリコンバレーに対する目線はどうなっていますか。

伊佐山:今の瞬間を見ると、日本からの注目度が圧倒的に高いと思います。でも、その様子をみてドイツや北欧の国の役人や企業が関心を持ち始めています。シリコンバレー的ノウハウを取り入れることが必要だと考えるようになっているのは、日本だけではありません。

シリコンバレーは変わりつつある

僕が感じているのは、シリコンバレーが変わりつつあるということです。これまでのシリコンバレーはクラウド側、インターネットを中心に据えていた。その前は通信や半導体が中心だったことを考えると、シリコンバレーは、一度、通信や半導体からインターネットへと注目がシフトした。そして今は自動車、機械、医療などあらゆる場所にインターネットががっちりと組み込まれていく時代になってきた。既存の産業にとってみれば、何もしないでいればグーグル、アップルに全部持っていかれてしまう、という危機意識がある。

グーグル、アップルがパソコンやスマホだけやっているときは、誰も脅威に思っていなかった。でも彼らがインターネットを使って、既存のビジネスに食い込んできた。要するにドローンを飛ばしてデータも取る、農業もやる、車も作る、という具合に。

次々に既存の巨大な産業に首を突っ込み始めたときに、初めて大企業も危機感を持ち始めるわけです。このまま座っていると、全部シリコンバレーに本社を構えている会社に、彼らの資本力でやられちゃうぞ、という恐怖心です。もちろん、コマツのようにしっかり対応している会社もありますが、製造業を中心に多くの会社は自分たちの事業にインターネットのDNAを組み込むことができない。既存の産業にインターネットが組み込まれるうえで象徴的なのがIoTやIndustrial 4.0の動きです。

次ページ伊佐山氏が感じているもうひとつの流れとは?
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