また最近、何でもかんでも「ハラスメントだ」と声を上げる人たちも増加傾向にあります。彼らには、自己愛傾向が強く、打たれ弱いという特徴があります。そして、何か問題が起こった時には「自分のせい」よりも「他人のせい」ととらえがち。これがあまりに顕著な場合、周りには毅然とした対応が求められます。
対価を得て仕事をするのは、そもそも大変なこと。自分の思い通りにいかないことの方が多い「働く」ということについて、社員にしっかりと自覚を持たせることも、上に立つものの責任なのです。
一方で、あからさまな「ハラスメント」も多く見られます。感情のままの言動・行動をするだけでなく、必要な印鑑を押さないなど、権限を武器にした嫌がらせをする例も散見され、これは相手を追い詰める理不尽極まりない行為と言えます。直属の上司がこのタイプだと、メンタル不調を起こしてから問題が明るみに出ることも少なくありません。
「認められている感覚」がハラスメントを減らす
「ハラスメントもどき」と「あからさまなハラスメント」。これらはまったく違うことのように思われがちですが、実は両者とも、行為者(前者は告発する者、後者は嫌がらせをする者)が、大きな「不全感」を抱えているという共通点があります。
裏を返せば、「自分はきちんと認められている」「見合った評価をされている」という意識があると、ハラスメントは起こりにくいのです。そのためには良好なコミニケーションが不可欠であるとともに、社員を正当に評価する会社側の評価システムも重要です。
ハラスメントが起こる背景には、ほかにもさまざまな要因があります。その一つが、性別役割分担意識です。男女平等の世の中になったとはいえ、私たちの中には性差の意識が依然としてあり、生活の中にしみこみ文化となって馴染んでいます。
たとえば、百貨店で「おままごと」の道具を買うと、レシートに「女児玩具」と記載される場合があります。これは「家庭での料理は女性がするもの」という考えの現われだと言えます。これを不快に思う人がいれば、何とも思わないという人もいることでしょう。
男女の違いがあるのは、当たり前のこと。お互いが違いを認めて尊重し合えればいいのですが、現実には、「女のくせに偉そうに指図するな」といった言動が見られたり、「女性の上司の下で仕事をするのには抵抗がある」と訴えてくる男性職員の相談も、まだまだ後を絶ちません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら