大阪王将が「町中華」を別ブランドで出す深い意味 文化衰退のなか、「持続可能な町中華」づくり

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そんな中で、「大阪王将」で知られるイートアンドホールディングスグループが面白い動きを展開している。同社にて、ラーメン事業を手がける株式会社一品香が、町中華「新御茶ノ水 萬龍」の2号店をオープンした。場所は、2024年6月24日にオープンした東京ドームフードホール「FOOD STADIUM TOKYO」内だ。

店頭
こちらがその外観(筆者撮影)

同グループの町中華のお店としては4店舗目で、チェーンが手がける町中華として注目が集まっている。今回はその飛躍の秘密やこだわりに迫ってみたい。

「テクノロジー×町中華」で活路を開く

いちばん最初のお店は、2019年10月に東京・恵比寿にリニューアルオープンした「大龍軒」だ。イートアンドグループとしては「大阪王将」という有名な中華ブランドがあるにもかかわらず、このお店は「大阪王将」とは全く別の町中華のお店としてオープンした。

「『大阪王将』は既にイメージが確立されています。そこで、新たな町中華ブランドを立ち上げて、それを一から育てていこうという選択になったんです」(一品香 代表・鳥生恒平さん)

「大龍軒」はオープン時から非常に売り上げ好調で、2020年4月には御茶ノ水に「萬龍」をオープンしたが、同時にコロナ禍に突入した。

面白いのは、チェーンが手がけているにもかかわらず、「大龍軒」の2号店にせず、別のお店として立ち上げたということだ。その後、3店舗目として2020年11月、東京・大塚に「幸龍軒」をオープンする。

「お店の名前はそれぞれ変えて、それぞれを個性ある町中華のお店にしようという戦略は初めから打ち立てていたものです。メニューや味づくりはある程度各店の店長に任せて、お店ごとの楽しみ方を作るのが町中華らしさだと考えました。チェーン店っぽくせず、あくまで町中華として楽しめるお店づくりがポイントです」(鳥生さん)

企業が手がけるメリットと、個店らしさを、うまく共存させようという試みだ。

「萬龍」の肉玉炒飯
「萬龍」の肉玉炒飯(筆者撮影)

とはいえ、「萬龍」はオフィス街である御茶ノ水のど真ん中でオープンしたため、コロナ禍の2~3年間は売り上げの厳しい時期が続いた。近隣に住んでいるお客さんがその間を支えてくれた。

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