その後「肉玉炒飯」が地域の町中華のイベントで取り上げられ、しだいにSNSで話題になっていく。絵力のあるそのビジュアルはSNSに強く、その後『嵐にしやがれ』『マツコの知らない世界』でも紹介され一気にバズっていく。
「はじめは多店舗展開をする予定はありませんでしたが、予想以上の反響で店舗展開する決心がつきました。一時のブームで終わらず、お客さんのニーズが長く続いていくのを感じました。当然、『大阪王将』と比べると広がりづらいのですが、それをカバーするために調理ロボを導入することにしました。テクノロジー×町中華という形であれば展開ができるのではないかと活路を見出したんです」(鳥生さん)
6月には「萬龍」の2号店を東京ドームシティ内の「FOOD STADIUM TOKYO」にオープンした。ここから「萬龍」という町中華のブランドをさらに強固にしていくという大きな決断だった。
職人の技術をコピーする炒め調理ロボット『I-Robo』を導入することによってクオリティが安定し、さらには人手不足の解消にもつながる。調理ロボと言っても、その腕を侮るなかれ。熟練職人の鍋さばきを様々な角度から研究し、加熱温度、加熱時間、フライパンの回転スピード、回転方向まで細かく調整、プログラミングし、コピーしているのだ。
昨今、チャーハンの人気が復活傾向にあるが、中華鍋を振るのは、肉体的な負担が大きい。職人不足や、職人の負担の軽減につながる意味で、ロボットの活用は、町中華という文化を残す一助になる可能性があるだろう。
“文化”として町中華を残す手法
これからも町中華のニーズは高まってくるとイートアンドは読んでいる。ショッピングセンター内にはまだ町中華のお店があまりないため、今後は路面店よりも商業施設内での展開を中心に考えている。
首都圏のショッピングセンターやフードホール、オフィスタワーの中など人の集まる施設に出店し、食事需要・飲み需要に応えていく。普段なかなか町中華に行けない女性や若者なども取り込めるというメリットがある。
東京ドーム店は坪月商100万円以上の売り上げを上げており、大変好調だ。
「『大阪王将』もエリアによっては町中華的に使われていますが、それがすべてのお店にハマるわけではありません。中華レストランとしての使われ方も多くあります。一方で「萬龍」は個人店っぽい広げ方を考えています」(鳥生さん)
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