対話の現場/不確かな時代における若者のための対話論

対話の現場/不確かな時代における若者のための対話論

北川達夫 日本教育大学院大学客員教授

先週に引き続き、作家の石田衣良さんとの対談講演「知層をつくろう~新しい生き方・ことばの力~」(9月25日・於全電通労働会館)から、興味深い内容を紹介することにしよう。

このイベントでは、学生など若者を壇上に迎え、この不確かな時代におけるさまざまな思いを語ってもらった。その思いに石田さんと私が応える形で、独特の対話が進行したのである。

たとえば人間関係について。

高校時代は部活に専念していた。そこでは部員が一体となって、何事かを成し遂げるという充実感があり、確かな人間関係があった。だが、大学に入ったら表面的な人間関係ばかりで、ぜんぜん充実した感じがしない。多様化する社会では人間関係が重要だというのに、このままでは不安だ──。

確かに人間関係は重要である。だが、ここでいう人間関係とは、「わかりあえない」同士でも、社会における共通の問題を解決する(あるいは共通の目標を達成する)ために協働する、「対話的な人間関係」のことを意味する。

協働するためには、互いの利害を調整しつつ、手を結べるところは結び、結べないところは結ばないまま留保しておく必要がある。要するに、「仲良しの友達関係」とは根本的に異なるということ。

その意味では高校時代の人間関係のほうが、対話的であったといえるだろう。部員が一体となるまでには、さまざまな価値観の衝突や利害の調整があったのではないか。気の合わない部員とも手をつなげるところではつなぐことによって、共通の目標を目指したのではないか。

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • 岡本幸一郎の自動車情報発信局
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
100億円の寄付を即決<br>ユニクロ柳井会長の危機感

ともにノーベル賞を受賞した京都大学の本庶教授、山中教授に、ユニクロの柳井会長が過去最大規模となる総額100億円を寄付すると発表。研究支援を決めた背景には、サステナビリティ、社会課題の解決などに対する柳井氏の強いメッセージがありました。