対話の現場/不確かな時代における若者のための対話論

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そして毎週の締め切り──。

結局のところ、さまざまな制約の下で精いっぱいに自分を表現することが、社会において「自分らしさを追求する」ことなのである。

実際のところ、制約があったほうが自分を自分らしく表現しやすい場合が多い。たとえば本連載にしても、期限や分量の制約もなく好きなことを好きなように書いてもよいということになったら、たぶん私は何も書けないだろう。1回か2回なら何とかなるかもしれないが、毎週はとても無理である。

制約は多様な意見を確保するうえでも重要である。

たとえば、「ハーバード白熱教室」のマイケル・サンデル教授の有名な課題「嵐の海で定員10名の救命ボートに11人目が乗り込もうとしたら、どうするか」について考えてみることにしよう。

この課題について、単純に「あなただったらどうする?」と質問すれば、何の制約もないまま意見を求めることになる。

だが、このように質問して、本当に多様な意見が出てくるか?

たとえば、あなたが「自分が助かるためなら、他人をすべて犠牲にしても構わない」と思っていたとしても、それを実際に口にできるか。意見と人格は切り離して考えるべきだというが、それはあくまでも理想。人格を疑われるような意見を言えば、やはり人格を疑われてしまうのである。かくして、意見を自粛することとなり、結果として多様な意見は確保できなくなるのである。

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