抽象的な概念を使って考えたり、会話できるようになる。ベースになるのが、10歳までに体を使って感じ、考え、話してきたこと、つまり「体で覚えてきたこと」なのです。
子どもにかかわれる時間は案外短い
10歳ごろになるともう一つ、それまでとは変わることがあります。
それは、「親といるより、友だちといる時間の方が楽しくなる」ということ。親に甘えなくなるということではなく、外の世界に「一人の人として」出かけていくようになる、そんな変化を迎えます。
「10歳なんてまだまだ子ども。自分がいないと何もできないはず」と親御さんは思いがち。ですが、子どもの心と体は10歳ですでに自立に向かい始めています。本来、そこで親御さんも子どもから自立=手を離していく時期なのです。
生まれて間もないころはお母さんの気配が消えるだけで泣いていた子も、離乳期、イヤイヤ期、幼児期と成長していくにつれて、だんだんと自立していく。親が子どもにかかわれる時間は、じつは思っているほど長くはないのです。
いま小さなお子さんを育てているまっ最中の方は、子どものイヤイヤに悩まされたり、子ども中心の生活で自分の自由な時間が持てないと、モヤモヤしているかもしれません。でも、そんな時期はあっという間に過ぎていきます。
そして、一つだけ頭に入れておいてほしいのが、「10歳までの育ちがその子の体と知性を育む大切な時期」だということ。
子どもの成長を一本の木として考えるとイメージしやすいのですが、10歳までに体を使って感じたことや、誰かの話を聞いたこと、自分で言葉にしてきたことは、子どもの根っこを育てます。しっかりした根があるからこそ、子どもは大きな「木」へと成長できるのです。
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