事故物件の「オバケ調査」は業界の救世主になるか 一晩泊まり込んで部屋に異常がないかを調査
そこで、オバケ調査が登場することになる。オバケ調査を行っているのは、株式会社カチモードの児玉和俊さんだ。
2007年3月から2022年8月まで、賃貸不動産管理や賃貸オーナーの資産管理などの業務に従事してきた。不動産会社を退職して独立しようと考えたとき、当初は普通の不動産会社を想定していた。
ところが、事故物件の対応をしたときの経験を思い出した。物件所有者は仕方がないとあきらめるしかなかったが、それは勤務していた期間ずっと、変わらない姿だった。物件の資産価値を回復させる手立てがあるのでないか、誰もしていないなら自分がやろう、と会社の方針を変えた。
児玉さんが考えたのは、契約前の告知の際に詳しい調査報告書を添えることだ。亡くなった人を知らない人と事故物件の遺族とでは、その部屋に対する感じ方は違う。気持ちが悪いと思うかどうかは、「亡くなった人と住み手の心の距離感」による。
そう考えて、何が起きて、部屋をどう改修したか、実際に泊まり込んだ結果どうだったかなどの「調査報告書」を作成して、しっかり説明することにした。これが、オバケ調査のきっかけだ。
あえて宅地建物取引事業者ではない立ち位置に
では、誰がどういう立場で、事故物件に関する報告書を作成してほしいと依頼するのだろう? 児玉さんに依頼するユーザーは、賃料をできるだけ下げたくないという賃貸オーナー、オーナーから相談された賃貸管理会社、事故物件を買い取ってリフォームして再販する際に売買価格向上を図りたい買取再販事業者などだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら