事故物件の「オバケ調査」は業界の救世主になるか 一晩泊まり込んで部屋に異常がないかを調査

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これは、異常がないと判定した家で、住んだ人が不思議な現象を経験した場合、10万~100万円(異常の内容や回数、記録の提供の有無などにより異なる)の懸賞金を出すもの。オバケのマイナスのイメージを、懸賞金によってプラスに変える戦略だ。

なお、カチモードとしてこれまで調査をした35調査のうち、異常が見られたのは5件(近隣に要因があったものを除く)。再調査に進む場合もあるが、これで終わる場合もある。

カチモードで部屋を借り上げるメニューも用意しており、「泊まってみたい」「部屋をのぞいてみたい」といったニーズもあるので、活用方法はいろいろ考えられるというが、こちらの利用はあまりないという。

オバケより怖いもの!? 神主がお祓い拒否!?

児玉さんに、オバケ調査に関するエピソードをいくつか聞いてみた。

雨の日にオバケ調査に出向いたところ、サーモグラフィで天井の特定箇所に冷気が見られた。そこを詳しく調べたら漏水のようだったので、翌朝詳しく調べたところ、排水口が詰まっていたことがわかった、という事例があったという。

漏水がある賃貸物件は、貸せる状況ではないため「気づいてくれてありがとう」と感謝されたという。そこに異常な現象はなかったのだが、漏水はオバケより怖いものなのかもしれない。

また、オバケ調査に行ったところ、神主さんがお祓いのために来られていたが、児玉さんがキッチンの床下収納に違和感を覚えて、とりはずして床下を調べたところ、井戸を発見した。井戸のお祓いをしたほうがよいのではないかと相談したところ、その場にいた神主さんにも、地元の別の神主さんにも断られ、その井戸には触らないほうがよいという助言まであったという。

実は、その部屋は以前から退去理由として、病気になったから、怪我をしたから、離婚をするからといったものが続き、最後に自殺者が出たという物件だった。オバケ調査を依頼されたものの、その部屋は誰にも貸さない部屋になった。ゾッとする話ではないか。

さて、オバケ調査というと、単に怪奇現象を調べるだけかと思いがちだが、事故物件を抱えてしまった賃貸オーナーの救世主として、資産価値を回復するという、住宅業界の課題への挑戦でもあったのだ。住宅業界にどこまで影響を与えられるか、興味深い。

【画像】「オバケ調査」とは何か? 調査に使う機材や報告書のサンプル、ビジネスの仕組みなど(7枚)
山本 久美子 住宅ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事