子育て卒業世代が地方の保育園に"留学"する理由 就労と移住体験がセット 得られた「気づき」

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「こども園の人材不足と、移住体験にやってくるシニア層のニーズを掛け合わせると、保育園で就労体験しながら移住も体験できる本取り組みは、上士幌にぴったりだと考えた」(上士幌町役場デジタル推進課梶達課長)。

「おとなの保育園留学」でやってきた人に期間中、さらに滞在を楽しんでもらおうと、上士幌町では「まちのサークル活動など、インターネットで調べても出てこないような情報を案内する『現地コーディネーター』を雇用する予定」(梶課長)だという。

サークル活動などで現地の友人ができれば、友人に会いに上士幌を再訪したくなるだろう。もしかしたら、移住のハードルも下がるかもしれない。「酪農家とのつながりや体験機会の創出など、新しいビジネスにもつなげていきたい。保育園留学の取り組みには、まちへの波及効果がある」(梶課長)。

おとなの保育園留学で第2のキャリアを

本取り組みは「留学」と名付けられているように、就労体験や地域貢献で対価を得ることが目的ではない。あくまで留学生が学びや気づきを得る機会だという点は、誤解のないよう強調しておきたい。

野菜直売書を訪問する様子
地元の新鮮な農産物が豊富に手に入るため、自炊しながら滞在するのも楽しいという(写真:キッチハイク提供)

それでも、子育てを終え、仕事をリタイアしたプレシニアにとって、見知らぬ土地で、新たな知見を得ながら自分を見つめ、次のキャリアをじっくり考える機会にはなるだろう。保育園での就労と移住体験、という取り組みが定着するよう、さらなる地方自治体のサポートも期待したい。

園児と親しむ様子
子どもたちと触れ合う時間(写真:キッチハイク提供)
笠井 ゆかり フリーライター

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かさい ゆかり / Yukari Kasai

1986年生まれ。大阪府出身。神戸大学法学部法律学科卒業。2009年、NHKに入局し、地方局で司法・警察取材を担当。生命保険会社への転職後は、代理店営業やコンプライアンス部門のリスク管理業務に従事。結婚を機にWEB関連会社のライターとなり、2020年からフリーライターとして独立。1児の母。Twitter:@nyagaWEB1

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