子育て卒業世代が地方の保育園に"留学"する理由 就労と移住体験がセット 得られた「気づき」

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そのため今回、おとなの保育園留学で、豊かな人生経験を積んだプレシニアを受け入れることについても「保育士にとって、新たな知見を得る機会になるはず」(雲山園長)と考えた。

実際には「2週間程度では園の良さを知ってもらうだけで精一杯」だったが、「それでも、いろいろなバックグラウンドがあるほうが加わった方が、保育の幅が広がって面白い。今後もさまざまな方に来ていただければ」と話した。

地元の人との交流
地元の人たちとの触れ合いも(写真:キッチハイク提供)

藤原さんが滞在したゲストハウスを運営している、みのシェアリングの橋元麻美WASITA MINOコミュニティマネージャーは、「おとなの保育園留学でやってきた人を見かけると、美濃の人たちもうれしそうだ」と話す。

重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「うだつの上がる町並み」や美しい川、そして飲食店やスーパー、勤務地となる保育園のすべてが、留学生が宿泊するゲストハウスから徒歩圏内にある。

合間に観光を楽しむ様子
旅行で訪れるだけではわからない、地域の良さにも触れられる(写真:キッチハイク提供)

また、以前から保育園留学の取り組みがまち全体で認知されているため、地元の人から「留学で来たの?」などと声かけをしてくれる環境がある。

「美濃はコンパクトなまちで、人と人の距離も近くてあたたかい。観光などの短期滞在よりも、中長期滞在の方が美濃の良さを感じてもらえると思うので、まちを好きになっていただくのによい取り組みだと考えている」(橋元さん)

まちへの波及効果にも期待

今後、「おとなの保育園留学」の受け入れ開始を予定している北海道の上士幌町は、東京23区ほどの面積に、人口5000人あまりが住むまちだ。

昨年からは、都市部の家族が地方に短期移住し、現地の保育園に子どもを預けながらワーケーションができる「保育園留学」も受け入れながら、まちの関係人口を増やすためにさまざまな仕掛け作りをしてきた。

一方、別の移住体験でやってくるシニア層にヒアリングを重ねると、豊かな自然のなかでのんびり過ごすだけでなく、地域貢献活動や短期の仕事があれば挑戦したいと考える人が多いことがわかった。

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