(ごまかせと命じた自覚は)ございません 東芝、田中社長の引責辞任会見の詳報
――第三者委員会の報告書には厳しい言葉も多かった。どう受け止めているのか。反論や意見の違いはあるのか。
田中:大変、時間の限られた中で、第三者委員会の皆さんに多大な時間とリソースを使って頂き、膨大な資料や当社関係者へのインタビューなど、精力的に長期間にわたって調査を頂いた。第三者委員会の皆様方の調査について敬意を表したい。内容は昨日と本日に公表させていただいているが、内容を真摯に受け止めて今後の対応を図りたい。
――今回、経営陣の刷新という会社が始まって以来の事態になってしまった。その原因と辞任をすることになった理由は。
田中:第三者委員会の調査報告書に基づき、真摯に受け止め、きちんと対応していく。今後、経営刷新委員会でさまざまな対策を取り、新しい当社を構築していく。そのためには大幅な経営陣の刷新が必要と認識した。
――田中社長は今回の件をきっかけに、会社がもっと良くなると言っていた。新しい経営陣にはどういう会社にしてほしいか。
田中:一番最初の記者会見でそのように申し上げた。その気持ちは今も変わっていない。今回の事案、そして第三者委員会の指摘を真摯に受け止めて新しい東芝の構築を、室町会長と経営刷新委員会、そして、社外の専門家の意見を伺いながら、構築していってほしい。
財務制限条項に抵触する可能性は低い
――利益の概念について、田中社長や東芝の経営陣はどうとらえていたのか。それが、一般的に言われているものとどうずれていたのか。前田専務に聞きたいが、純資産の毀損額は4000億円くらいのイメージで良いのか。今回の遡及修正で、財務制限条項に抵触することがあるのか。
田中:利益のみならず、企業を経営していく中で、売上、利益(を出して)、その中からきちんと雇用を守り、事業の拡大を目指す中で研究開発投資、設備投資、そして最も大事だと思うのが、豊かな社会への貢献だ。それを継続的、持続的に行うためには、利益は大変重要だ。株主や投資家に対して、投資に見合う配当を含めたお返しをすることが非常に重要だ。
ただ、その利益そのものが捻出される過程において、不適切な会計に基づく利益であってはならない。大前提としての適正かつ厳正な会計に基づく利益の創出というあたりが、今回、ずれていたと考えている。
前田:資本額への影響が概算で4000億円なのかという点については、固定資産の減損、繰延税金資産の引当等、第三者委員会の報告を踏まえて、固定資産の減損の時期や金額などに加えて、過年度の会計の妥当性について、当社で検証を行い、その上で新日本監査法人が監査を行っている。監査が終わっていないので、現状では金額は把握していない。有価証券報告書を当局に提出するのは8月末なので、鋭意進めている。見通しが立った時点で適時開示するので、監査法人に対して全面的に協力し、金額の算定等について開示を進めていきたい。
財務制限条項については、今のところ、抵触するという指摘は頂いていない。金融機関と緊密な連携をし、今回の事情について丁寧に説明することで、条項への抵触については回避していきたい。(遡及修正をしたことについても)、金融機関に説明し、抵触を避けるよう万全の努力をしていきたい。
――どうしてこのタイミングまで不正を断ち切ることができなかったのか。
田中:その内容については第三者委員会の報告書をご覧いただきたい。
――不適切な会計処理という表現になっているが、粉飾だと考えているか。
田中:粉飾という言葉をどのように定義するかということに関わると思うが、第三者委員会の報告書では不適切な会計処理と記載されている。それ以上のことは回答を差し控えたい。
――利益至上主義に陥ったのには、どのような背景があったのか。
田中:利益を上げること自体は決して悪いことではない。事業を継続して雇用を確保する。研究開発投資、設備投資、そうした事業活動を通じて社会に貢献、豊かな社会を作り出していくために必要だ。ただ、繰り返しになるが、その前提となるのは、適正、厳正な会計処理に基づく利益でなければならない。報告書でも指摘されているが、知識を含めた認識のところで、ご指摘の通りの課題があったのではないかと思う。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら