(ごまかせと命じた自覚は)ございません 東芝、田中社長の引責辞任会見の詳報

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問題の深刻さから、多数の報道陣が詰めかけた

――報告書によると、歴代社長がチャレンジという言葉で利益目標の達成を迫ったということだ。こうした難しい目標を掲げた背景は。また、田中社長が指示した認識はないということだったが、どういう背景があったのか。

田中:チャレンジという言葉自体がいいかどうか。報告書ではプレッシャーを与えたというような記述を頂いた。目標を掲げること自体は悪いことではない。ただ、それが実現可能なレベルなのか、不可能なレベルなのか。レベルの差や解釈、あるいは受け手の認識というものが確かにあるのではないかと思っている。今後、報告書の中身を精査していく中で、今後、どのように対応すべきか、予算の組み方、達成状況の確認をどうやっていくかを含めて経営刷新委員会で対応を考えていけるかと思う。

――田中社長もプレッシャーを受けていて、今回のことがあったのではないか。

田中:私自身が誰かから、あるいは何かからプレッシャーを受けていたという認識はございません。

――米ウエスティングハウスの買収で、利益が思うように上がらなかったことが今回の事態につながったのか。

田中:ウエスティングハウスが原因だとは思っていない。

前田:ウエスティングハウスの数字は開示していないが、ウエスティングハウスのキャッシュフロー、損益は8割以上が保守、燃料の交換。安定した収益をきっちり上げていると認識している。さらに近年は国内の原子力事業部とのシナジーも実を結んできている。買収当時に比べて大幅に営業利益が拡大してきている現況がある。懸念は感じていない。

――チャレンジという言葉を、田中社長はどういう趣旨、文脈で使ったのか。

田中:私自身はチャレンジという言葉は使っていない。私は「必達目標値」という言葉を使っていた。

――報告書では、経営トップが見かけ上の利益のカサ上げを行ったとある。そのような事実はあるのか。

田中:個別の事案についてのコメントは差し控えたい。第三者委員会の報告書をご覧頂きたい。

――先ほどから第三者委員会の報告書を見て欲しいということだが、聞きたいのは田中社長がどう考えているかだ。

田中:ありがとうございます。個別の事案についてはコメントを差し控えさせて頂く。

社内抗争についての認識はない

――東芝は経営のチェック体制で先進的で、優等生と言われたこともあった。体制面でしっかりしたものを持っている東芝がなぜ、組織的な不適切会計を行ったのか。報告書には書かれているが、田中社長がどう考えているのかを聞きたい。

田中:私自身がですか。報告書の内容を真摯に受け止めたい。

室町:報告書にも記載されているが、委員会設置会社として、きちっとした組織がありながらこういうことが起きたということに対しては、取締役会、監査組織などの内部統制が不十分なところがあったのではないかと考えている。可及的速やかに実現可能な対策を打っていきたい。

――西田直人専務は現状のままなのか。企業風土にも関係することだが、社内抗争や経営陣の確執などが漏れ伝わってきているが、実際にあったのか。そうであれば、今回の問題の背景の一つになったのではないか。

室町:西田専務は技術、生産関係を歴任し、今回の不適切会計処理に一切関係していない。そういう意味では責任はないが、取締役なので、全体の取締役の責任の中で報酬返上などは考えないといけないのかなと考えている。9月の新体制では、社内の取締役を減らさないといけないので、そういう中で別途考える。

田中:風土として社内抗争があったのかについて、さまざまな報道がされているのは知っているが、私自身はそういう認識はまったくない。

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