(ごまかせと命じた自覚は)ございません 東芝、田中社長の引責辞任会見の詳報

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室町会長(左)が当面の間、社長を兼務することになる

――東芝の社長は通例、4年で交代するが、会社の規模を考えると期間が短いのではという指摘もある。また、外部から取締役会議長を招く考えはあるのか。

室町:今のところ、その質問については全くの白紙。外部を中心とした専門家、委員会等で議論を重ねたい。社長の任期については従来4年が普通だったが、毎年指名委員会で社長を選任するので、必ずしも4年と決まっているわけではない。

――報告書から読み取れるのが、現場の暴走を管理不行き届きで見つけられなかったのではなく、不正会計に経営陣が関与したと読み取れる。田中社長自身が、部下に対して、うそをつけ、ごまかせと命じた自覚はあるのか。

田中:ございません。

――田中社長が、西田相談役や佐々木前社長から利益を上げろとのプレッシャーを受けていたことはあるか。

田中:特にございません。

――では報告書に書いてあったような経営陣の関与はどこを指しているのか。

田中:それについては、第三者委員会の報告書をご覧ください。

――投資家は、(企業の提出する)有価証券報告書が正しいことを前提に投資する。投資家の行動に与えた影響についてどう考えているのか。

前田:投資家の判断を誤らせた可能性があることについては、真摯に受け止めている。適切な会計処理に向けた意識の向上、内部監査体制の強化、当期利益主義の是正を図っている。再発防止に取り組み、投資家の信頼回復に向けて努力していきたい。

従業員にはまったく罪はない

――報告書によると、「チャレンジ」と称して、不適切な会計報告を部下にさせていたとある。長期的に、不適切な会計をせざるを得なかった風土、上司に逆らえない風土があったと報告されているが、この点に関して社員に言いたいことは。

田中:一般の従業員にはまったく罪はない。経営陣、幹部、管理者がきちんと襟を正さなければならない。その中で最も重要なのが経営トップだ。私は不適切な会計処理を指示したという認識はないが、そのように、現実にご指摘いただいている部分もあろうかと思う。次の経営陣、管理者も含めて今後の再発防止、経営のやり方に反映させなければならない。全員が、今回のことを契機に、報告書のさまざまな指摘を真摯に受け止めて、きちんとした対策、そして知識、あるいは意識を含めた変革をしていかなければならない。

――昔の東芝は良い企業風土があった。いつから悪くなったのか。また、報告書の対象外の期間は大丈夫なのか。(不適切会計を指摘されていない)ヘルスケアなどの分野は大丈夫だと判断していいのか。

室町:非常に難しい質問で、いつから風土が(変わったか)というのは答えを控えさせていただきたい、経営刷新委員会では、企業風土の刷新というのも課題として残っている。専門家の意見を聞きつつ、適切な対応をしていきたい。

田中:今回は工事進行基準案件の会計の適切性に端を発したが、特別調査委員会の調査をしている中で、それ以外の懸念事項がでてきた。その中で3つの案件について、第三者委員会に委嘱し、調査をして頂いた。それとは別に当社の585社のすべての連結対象子会社を対象にしたセルフチェックを徹底的に行った。不適正な会計処理やその懸念があればきちんと申告するように、誓約書をとって報告させた、その中でいくつかの不適切と思われる会計処理が判明したのも事実。さまざまな事案があるが、単純な経理ミスも含めて、全て網羅的にチェックした結果なので、585社のセルフチェックを信頼している。

――第三者委員会の調査期間が今回、2008年度からが対象。ITバブルの崩壊時が一番大変だったと思うが、その時期をなぜ対象にしなかったのか。企業風土も、もう少しさかのぼって、いつぐらいから悪かったか、原因を究明しなければならないと思う。

前田:有価証券報告書の訂正期間ということでは、過年度、5年ということだ。良い企業風土を昔は持っていたと指摘頂いているが、企業風土については、現状、若干の問題があると第三者委員会は指摘しているが、経営刷新委員会等で改善を図る。10年前、20年前に大きな問題があるわけではないと考えている。

田中:会計処理のルール、適用の仕方も昔と比べて変わってきている。工事進行基準一つを取ってもそうだ。いかに最新のルール、解釈を適用して、適正な会計処理が行えるようにするかということも、我々は認識しており、きちんと対応していきたい。

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