石丸伸二「論破芸」魅了される若者に伝えたいこと 恥をかかせる行為を安易に鵜呑みにする危うさ
議会との対決姿勢を示す首長は、別に目新しくはない。しかし、石丸氏はスマホ時代にうまく適合した。時代の寵児として、新興ネットメディアに取材され、そのインタビューが拡散されることにより、さらに支持層は厚くなっていく。そして行き着いたのが、都知事選への参戦だ。
有名実業家からの支援も受け、都内各地で「ツアー」と銘打った街頭演説を連日行う。筆者も選挙戦中盤にあたる某日夕方、吉祥寺駅前(武蔵野市)での演説を見たが、北口ロータリーが大勢の人に包まれていて、事前の予想を大きく超える支持になっていると感じた。
そして迎えた投開票日、「小池vs蓮舫の一騎打ち」といった予想を裏切り、2位に食い込む。小池氏に当選確実が出た後、石丸氏は国政転身も「選択肢としては当然考えます」として、今後の野心を見せた。そんな石丸氏だが、投票が締め切られた直後から、評価がわかれ始めている。
フォーマット化している会話
いまSNS上では、「石丸構文」なるフレーズが話題になっている。小泉進次郎元環境相が言いそうなフレーズを組み立てる「進次郎構文」になぞらえて、都知事選の開票特番でコメンテーターらと交わされた会話が、ひとつのフォーマットと化しているのだ。
その典型が、日本テレビの中継で、社会学者の古市憲寿氏と行われた会話だ。石丸氏が批判する「政治屋」と、石丸氏自身の違いについて、古市氏が質問すると、「堂々めぐりになっている」「同じ質問を繰り返している」「もう一回言えってことですか? さっき言ったばかりですよ」などと返答。ほどなく、中継は時間いっぱいになってしまった。
TBSの中継では、JX通信社・米重克洋氏が「善戦したと受け止めているか」と質問したところ、笑みを浮かべながら「なんという愚問ですか。選挙に出る以上、一番上を目指さなくて、どうするんですか。アントニオ猪木に怒られますよ。負けることを考えるバカはいないって」と返答。フジテレビの中継では、元乃木坂46の山崎怜奈さんの質問を「前提のくだりがまったく正しくない」と断じて、同様に注目された。
これらの動画が拡散されるにつれ、SNSではパロディー化した「石丸構文」が拡散されている。飲食店での店員と客のやりとりなど、定義をめぐって「かみ合わない」様子をコミカルに描いた内容で、どちらかというと皮肉が利いている。
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