路線価全国1位の銀座「まだ上がる」業界強気な訳 根強いテナント需要、国内の富裕層も取り込み

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背景には、堅調なテナント需要がある。銀座中心部の路面店は、一度撤退すると次に入ることが難しくなるという事情から、「コロナ禍でもテナントはほとんど退去しなかった」(西浦会長)。

別の不動産業者は、「銀座には希少価値があり、テナントを募集すればすぐに埋まる」と話す。実際、ヒューリックが地権者と共同で再開発を進める「銀座コア」ビル(銀座5丁目)では、募集水準を上回る賃料でテナントが応募してきているという。

【2024年7月8日11:00追記】「銀座コア」ビルについての記載を上記のように訂正しました。

国内の富裕層も取り込む

不動産市場のデータを公表するCBREの調査によると、銀座中心部路面店の賃料は、2023年第3四半期でコロナ禍直前の水準を上回り、坪あたり26万0600円に上昇。2025年末には、26万9500円に達すると予想されている。中でも一等地とされるエリアの路面店賃料は、坪あたり40万円まで上昇している。

テナントの出店意欲を支えているのが、インバウンド需要であることは間違いない。さらに今回の取材で耳にしたのが、「銀座では国内客の流入も目立つ」という指摘だ。そうした国内客を取りこぼさないために、高級ブランド店の中には、国内客に絞った店舗を展開するケースも出てきている。インバウンドだけでなく、国内の富裕層需要も取り込んでいるのが、銀座の強さといえそうだ。

もともと銀座は狭い土地に細長く建つペンシルビルが多く、「大型の開発用地は出てこず、大手デベロッパーが参入しにくい」(業界関係者)。今でも銀座には、ウィンドーショッピングをしながら街を散策できる街並みが残っている。それが他のエリアにない特徴になっている。

個人の地権者が多く、「売却物件があまり出てこない」(別の関係者)ことが、地価の高止まりにつながっている側面もある。また、中小物件が中心なため、大型物件に投資する外資系ファンドの参入が比較的少ないとも指摘されている。

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