家を買うなら「谷・丘・山・台」つく地名は要注意だ 「地価暴落・空き家増・店舗閉鎖…」リスクあり?

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世田谷や横浜は高級住宅街のイメージをいまだひきずり、都心から距離がある割に不動産価格は高値を維持しており、まだまだ高嶺の花といえる。

まちづくり条例がしっかりしている世田谷区は、住居エリアの容積率や建蔽率の規制もしっかりしている。

これは世田谷は多摩川沿いの河岸段丘の街であり、標高差が目立つ丘や谷が多いからという理由もある。

世田谷の語源は「瀬戸」(狭小で急峻な海峡・谷間)と「谷」とも解釈できる。

横浜も、観光客が訪れるみなとみらいなどは埋立地で平坦だが、その多くは丘陵地帯で、都心部から離れたエリアはとにかく坂が多い。

2023年、世田谷区成城で大規模な擁壁崩れが起きて、テレビなどで盛んに報じられた。擁壁崩れがあった場所はかつてマンションのような建物があったらしいが、事故時は解体されて更地に化けていた。

ところが建物があった後方ののり面に擁壁等がなく、崩落前はマンションが擁壁の機能を果たしていたのかもしれない。

「〇〇が丘」「〇〇台」「谷」「丘」「山」のつく地名

住みやすいかどうかという視点で住宅を選ぶなら、地名にも注意することだ。

不便な高台にあるエリア、坂の多いエリア、無理な山林開発が行われたエリアなどは、地図を見ただけではわかりにくい。

開発された住宅地を示す「〇〇が丘」「〇〇台」、高低差のある「谷」「丘」「山」のように、地名にヒントが隠されていることもある。

本稿を執筆中の6月末、筆者が長年観察してきた奈良県生駒市の住宅地で土砂崩れが起こった。生駒市は生駒山の麓にあり、高低差のある坂の町として知られている。

住宅購入を検討するなら、そのエリアの開発の歴史などを探ったうえで、10年後の住民構成や不動産価格がどうなっているかを考察するとよい。

山下 努 不動産ジャーナリスト

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やました つとむ / Tsutomu Yamashita

朝日新聞経済記者、朝日新聞不動産業務室員を経て、現在はフリーの経済ジャーナリスト・経済アナリスト。1986年朝日新聞社入社、大阪経済部、東京経済部、『ヘラルド朝日』、『朝日ウイークリー』、「朝日新聞オピニオン」、『AERA』編集部、不動産業務室などに在籍。2023年朝日新聞社退社。不動産業(ゼネコン、土地、住宅)については旧建設省記者クラブ、国土交通省記者クラブ、朝日新聞不動産業務室などで30年以上の取材・調査経験を誇る。不動産をはじめとする資本市場の分析と世代会計、文化財保護への造詣が深く、執筆した不動産関連の記事・調査レポートは1000本以上に及ぶ。

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