教室「暑すぎ問題」解消、断熱ワークショップとは 生徒自身がDIY、「勉強に集中できる」効果実感

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もう1点、準備段階も含め、地域の工務店に関わってもらうこともポイント。工務店の断熱に対する意識を高め、今後は中古住宅の改修を中心に、地域の産業を生み出していけたらと竹内さんは考えています。

「人口が減り、新築住宅が減っている現在、中古住宅のリノベーションは今後より大きなビジネスになっていくはずです」。地域の工務店の出口戦略であり、結果としてそれが地域のためにもなるというわけです。

学校断熱の課題は予算とスピード感

学校断熱ワークショップの材料費は、100~150万円。メーカーや工務店から一部資材を提供してもらったり、クラウドファウンディングなどで寄付を募ったりしているのが現状です。

現在の学校環境衛生基準(文部科学省)では「18℃以上、28℃以下であることが望ましい」とされています。ですが、ワークショップで断熱できるのは8m×8mの教室の、南側の窓と天井だけ。どこまで断熱するか。廊下や、ほかの教室はどうするか。すべてワークショップで断熱するのは予算も時間もかかりすぎて、現実的ではありません。

(写真提供/エネルギーまちづくり社)

「現実的に気候は変動してきています。夏の外気温が38℃だと、屋上のコンクリートの床は40℃以上になってくる。そのすぐ下の教室をエアコンで冷やしても、断熱不足で熱侵入が大きいと30℃程度までしか下がらず、その場合の体感温度は35℃(※)。これは熱中症危険レベルなんです」(竹内さん)

※(表面温度+室温)÷2=体感温度

2018年、愛知県の学校で熱中症になった児童が亡くなるという痛ましい事故が起こり、政府は即座に全国の学校へのエアコン設置を決めました。それと同じくらいのスピード感をもって、学校の断熱にも公共事業として取り組んでほしい、と竹内さんは言います。

本来、空調工事と断熱工事はセットで考えたいものです。エアコンによって温度環境が改善されても、断熱されていない建物では冷暖房効率が悪く、エネルギー消費は増えるばかり。設置費には補助金が出ても、高い光熱費は自治体が負担しなくてはなりません。

そんななか、2024年度には東京都葛飾区と杉並区では学校断熱の予算がつき、公共工事によって断熱改修がスタート。

また長野県では、知事が出席するイベントで高校生が学校断熱の必要性を訴え、その場で「断熱プロジェクト」の予算化が決まった例もあります。

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