僕が面接で「超優秀な学生」を見抜けなかった後悔 就活生に教わった「社会人として最強の能力」

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15年前、「単なるビッグマウス就活生だ」と断じた彼は、「社会人として最強の能力」を持っていました(撮影:今井康一)
経済の教養が学べる小説きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」著者である田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会を作ることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、ある就活生が教えてくれた「社会人として最強の能力」について解説してもらう。

「いま面接してきた学生、やばかったよ」

本当に優れた学生の魅力は、しょぼい面接官のモノサシでは測れない。

ゴールドマン・サックスで面接官をしていた15年ほど前のことを思い出して、僕は反省している。社会人として最強の能力が何かを、ある学生から学んだのだ。

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「いま面接してきた学生、やばかったよ」

同僚がニヤニヤしながら話かけてきたのは15年ほど前のこと。当時、僕らは採用活動にたずさわっていた。

その学生はどんな人物なのだろうかと興味津々だった。同僚は、その学生に統計の問題をたずねたらしい。

「2個のサイコロを振って出た目を足したとき、どの数字がいちばん出やすいですか?」

正解は7。統計学的に約20%の確率で7が出る。

その学生は自信満々に12と答えたという。12を出すには2個とも6が出ないといけないので、確率はわずか3%弱しかない。

ところが、その学生は、同僚の目を見て自信満々にこう言ったそうだ。

「僕はここぞというときなら100%の確率で6を出せます。信じてください」

次ページ「ビッグマウス」だと断じてしまったが…
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