多くの大人が決して言わない「残酷なお金」の現実 「手取りはすべて使い切り、職業はこう選べ」
手取り20万円の使い道
お金の話をしよう。
研修医の間、僕は全然お金がなかった。
いただいていた額は決して少なくはなかったが、結婚式に行ったり高額な教科書(医師向けの教科書は平気で一冊1万円する)を遠慮なく買ったりしたせいで、2年間の研修医生活が終わった時に僕は借金を抱えていた。
それからちょっとずつ給料は増えたが、僕は相変わらず使い続けていたので、なんと35歳で結婚する時に貯金がゼロだったのだ。信じられないかもしれないが、本当だ。
でもこれには理由がある。僕は、貯金はゼロだったが、お金を「自己投資」していた。僕が医者になって3年目から9年目までの間、世の同世代の医者の年収の半分の額しか病院からもらわなかった。だが、僕は授業料だと思っていた。世界トップレベルの外科医から手取り足取り手術を教えてもらえるのだ。毎年何百万円を誰かに払っているつもりだった。
いつかきっと取り返せるだろうし、取り返せなくたって何千万円かの支払いで、僕は外科医としての階段を一段飛ばしで駆け上がることができるのだ。それは苦にならなかった。さらに、国際学会に毎年行った。飛行機代と宿泊代を考えても20〜30万円はかかる。それに学会参加費が10万円くらい、現地で飲み食いして10万円くらい。合計50万円くらいを毎年使っていた。国際学会に行くためにはそれ相応の研究成果がなければならないが、上司がかなり面倒を見てくれたので毎年行けた。多い年には年に2回行った。
大変なお金がかかるが、僕はこれも「いろんな国に行ったことがある、そして国際学会で何度も発表したことがある」という自己投資だと考えていた。親しい上司や後輩と行く海外は楽しかったということもある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら