「時間のムダ」意味ない会議が生まれる根本的原因 議論の前に「良い会議」を定義できていますか?

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例えば、Aさんが発言したとしましょう。ファシリテーターは、全員が理解できるように、Aさんの意見を咀嚼して、時には通訳して、理解を伝播させる必要があります。そのうえで、他の意見とも比較して、何が妥当なのか議論して考えていきます。

「良い会議」では、強引に意見を通すことは、あってはならないのです。
私が、「良い会議」を、「参加者から、あらゆる知識・知見・経験を集め、建設的な衝突を行うことで、全員が“納得できる解〟をつくりあげる場」と定義している理由は、前述の通り、今の時代において、「唯一の正解」は存在しないからです。昨日は正解だと思ったことも、今日は不正解かもしれない。

もし、〝解〟があるとすれば、それは現時点で「最も妥当な解」でしょう。会議において重要なのは、正解を模索する姿勢ではなく、議論を通して、最も妥当で、全員が納得できる解を抽出する姿勢なのです。

全員が納得できる解をつくるには

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では、会議において、“納得できる解”をつくるためには、どうすればよいでしょうか? 先述した通り、まずは発言者の意見について全員が「理解」できるように、ファシリテーターが理解を“伝播”させることが重要です。

ただ、それだけでは不十分です。「なるほどね、分かった」という「理解」と、「まさにその通りだ、腑に落ちた」という「納得」には距離があるからです。この「理解」の先にある「納得」を促すためには、議論成果だけではなく、「どのように議論していくか?」という議論プロセスが重要になります。

理由は、至極単純です。人は、一方的に決められたことや言われたことに対して、理解はできても納得はしにくいからです。結果だけ示されても、自分の中で消化しきれていなければ、理解はできても納得はしにくい。

一方、自分がゼロから関わり、侃々諤々議論してきて決まったことならば、一方的に示された結果とたとえ同じ内容だったとしても、納得のしやすさが全く違います。これがファシリテーションで最も重要な根本思想です。

「人は、自分が関与してこなかったものには納得しにくい」。ぜひ覚えておきましょう。

田中 大貴 M&A戦略コンサルタント、MAVIS PARTNERS プリンシパル

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たなか だいき / Daiki Tanaka

早稲田大学商学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、その後、ジェネックスパートナーズ、マーバルパートナーズ(現PwCアドバイザリーのDeals Strategy部門)、ベイカレント・コンサルティングのM&A Strategy部門長を経て現職。一般社団法人ポストM&A研究会 代表理事、グロービス経営大学院にてファイナンス講師も務める。

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