実際、カレーチェーン最大手のCOCO壱番屋は国内店舗数1200店のうち、1093店舗(2024年2月期実績)がFC加盟店により運営されているが、そのほとんどが独立した社員によって経営されており、その10年継続率は91%であることを開示している。
ほかにも、餃子の王将は732店中190店がFCであるが、この過半が社員独立FCである。鳥貴族もコロナの最中に社員独立専用のFC業態大倉家をスタートさせた。
こうした事例を見れば、社員の独立支援制度を持っている外食企業が各業態のトップ企業であり、社員のキャリアアップ支援を会社方針としている企業が、組織のモチベーションを維持できることを実証している。
賃上げだけが解決策ではない
これからの外食チェーンは、新店開発を本部が行い、一定期間のマーケティング実証をして持続可能な店舗を貢献度の高い社員に渡していく企業が増えるはずだ。
なぜなら、従業員を労働力として扱うのではなく、パートナーとして育て、共存共栄していくという体制を持たない企業に、人は集まらないからである。そして、これは正社員に限ったことではなく、パート・アルバイトから正社員をスカウトしていくうえでも有効であることは間違いない。
人手不足という課題を外食産業の現状を踏まえてみてきたが、この問題、国内の労働集約的産業に共通の問題であることは言うまでもない。解決策は、生産性向上や賃上げといった話として議論されていることが多いように思うのだが、本質的には従業員個人としてのキャリアアップをサポートする気があるか否か、が最も重要なのではないか。
人材確保に賃金水準が最も大事なことは間違いないが、必要条件であって十分ではないだろう。人はパンのみにて生きるにあらず!なのである。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら