「あなたのため」が「教育虐待」に変わるとき

子供の人生を狂わせる「追いつめる親」たち

「教育虐待」という言葉を知っているだろうか(写真 : たび助 / PIXTA)

成績が悪いことをなじられて、子が親を殺すという悲惨な事件はときどき起こる。有名なのは、1980年に予備校生が金属バットで父親を撲殺した事件だ。成績や進学をめぐって、医師である父親との葛藤が背景にあったと報道された。

記憶に新しいところでは、2006年、有名進学校の高校生が、義理の母とその子どもたち、合わせて3人を殺害し、自宅に放火した事件。少年は、父から医師になることを命じられていた。成績が悪ければ、罵倒され、暴力も振るわれていたという。犯行動機は父親への腹いせだった。

「教育熱心過ぎる親が、子どもを追いつめる」

このような事件が報道されると、マスメディアは一様に、「学歴社会の歪み」や「偏差値偏重主義」や「エリート志向」などと批判する。世間知らずのエリート一家が起こした特異な事件として扱う。

これらは本当に特異な事件なのだろうか。追いつめられた子が親を殺す事件は、大きく報道される。しかし、追いつめられた子が、自殺した場合には、原因もよくわからないまま、自殺件数のひとつとして記録されるだけだ。殺人にも自殺にも至らなかった場合でも、追いつめられた子が、大人になっても精神的に追いつめられ続けている場合があることが世の中から注目されることは、少ない。

「教育虐待」という言葉を知っているだろうか。「教育虐待」とは、「あなたのため」という大義名分のもとに親が子に行う、行き過ぎた「しつけ」や「教育」のことである。

次ページ母親という名前の宗教
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 中原圭介の未来予想図
  • 男性学・田中俊之のお悩み相談室
  • トクを積む習慣
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
進撃の商社<br>純利益1兆円への野望

資源価格の反発で総合商社の業績は絶好調、非資源での新規ビジネス創出にも余念がない。純利益1兆円突破への期待も出てきた今、商社の実力を総点検する。5大商社のトップがそろい踏み、「人材編」にはイラストで各社のキャラ解説も。