近年は「マンションなど中高層住宅が建てば、それでよい」という安易な開発視線の自治体が急増し、「街の個性」が失われつつある。
駅前に降り立つだけでは、ここがどこなのかわからないほどだ。
歴史ある街並みも「駅前再開発」で様相が変わる
三多摩地区でも住宅建設バブルが発生しているが、代表的なのが府中市(駅前エリア)だ。
府中は江戸時代まで国府の置かれた由緒ある都市で、駅前から大國魂神社までは鎌倉時代に由来するけやき通りが南北に貫き、比較的低層なビルで緑の美しい景観を作り出してきた。
しかし、平成初期の京王線の高架化と新駅舎完成により、駅周辺は「府中スカイナード」という空中歩行通路(ペデストリアンデッキ)が完成した。実際にはデッキ下は薄暗く、決して多くない人通りをさらに分散させた。
2019年には「駅前再開発の目玉」として出店した伊勢丹が撤退するなど、落ち目感は拭えない。
そんな府中で、筆者から見ると「レッドカード」を出したいような開発が進んでいる。
府中のタワマン開発に「レッドカード」!?
由緒あるけやき通りから府中街道に至る、渋い飲食路地だった宮西国際通りが、タワマン街に変身中なのだ。
この付近には将来的にタワマンなど中高層のマンションが30〜40棟(建設・計画・構想中含む)も現れ、「供給過多」の懸念が出ている。
近隣市の駅前開発事業が進む中、府中市は集客力の減少が懸念されるとして、さまざまな手を打ったという。
飲食街の空き店舗対策や土地の売買などを進めた結果、マンション開発が急ピッチで進んだ。
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