おしゃれな街「自由が丘」密かに抱いていた危機感 高層ビルなかった街が大型再開発に踏み切る訳

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自由が丘
自由が丘駅前の再開発現場。3カ月ほどでみるみる更地に。2023年に9月4日撮影(写真:筆者撮影)

これまでほとんど高い建物がなかった自由が丘が大きく変わろうとしている。東急東横線・同大井町線自由が丘駅前で地上14階、高さ約60mの再開発ビルの建設工事が始まったほか、同区画と道路、線路を挟んだ2カ所でそれぞれに再開発の動きがある。雑貨やスイーツなどで知られる自由が丘はどう変わっていくのか。

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自由が丘の魅力と課題

自由が丘は1920年代、車社会の到来以前に鉄道敷設に伴って作られた街である。そのため、駅を中心に広がる半径約200mほどのコンパクトな商業、近隣商業エリア内には車の通行を前提としていない細街路が多く、それが街の魅力になっていると同時に課題にもなっている。

バス通りですら道幅が狭く、車の往来、人とのすれ違いに危険を伴うだけでなく、駅近くの商業地域に立地していても小規模な建物しか建てられないのである。

自由が丘駅
東急東横線、同大井町線が交差する自由が丘駅。駅前にはいつも待ち合わせと思しき女性たちがいる(写真:筆者撮影)

また、3カ所ある東急東横線の架道橋は2.2m、2.5m、2.9mと高さがなく、救急車両が通れない懸念がある。交差する同大井町線も含めると7カ所の踏切は街を分断、災害時の避難に影響を及ぼしかねない。

さらに驚くべきはこのエリア内に補助127号、補助46号、補助208号という3本の都市計画道路が走っていること。最も古い補助127号は昭和20年に計画決定されており、以降、都市計画道路に面した土地はいつ始まるとも知れない道路工事のために建物の構造や階数の制限などを受けてきた。街、建物を更新しようとしてもできない状態が長らく続いてきたというわけである。

低い架道橋、踏切がまちを分断してきた(写真:筆者撮影)

その一方で街としての自由が丘は長らく右肩上がりの成長を続けてきた。

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