おしゃれな街「自由が丘」密かに抱いていた危機感 高層ビルなかった街が大型再開発に踏み切る訳
そのため、再開発で生まれるビルには、駐車場、駐輪場、共同荷捌き所、無電柱化を進めるための電力システムなど、今自由が丘に足りていないものを備えるという。加えて、細街路に個店が並ぶ、いかにもこの街らしい自由が丘サンセットエリアへの人の流れを促すよう、建物内を貫通する通りも作られる。足元には幅4.5mほどの歩道空間も生まれる予定だ。
低層階には商業、業務機能を入れ、7階以上を賃貸住宅に充てるというのも他の再開発にはない点だ。自由が丘の大きな顧客である隣接地、田園調布では高齢化が進んでおり、165㎡という住宅の最低敷地面積の制限もあって若い人の流入がそれほど多くは見込めない。だが、自由が丘駅前の賃貸住宅であればこれまでと違う層の流入が期待できる。
また、賃貸にするということは売りきっておしまいにするという、よくある再開発のやり方ではないという意味でもある。地権者、事業協力者も含め、この土地に関わり続けざるをえないのである。
さらなる再開発もありえるか
開発が進む地域と道路を挟んで西側、東急東横線を挟んで東側でもすでに市街地再開発準備組合が設立されている。現在のところ、どのような開発になるかはわかっていないが、内容次第では現在、自由が丘に足りていない機能が新たに付加されるかもしれない。
2004年度に自由が丘周辺の東急2路線が東京都の「踏切対策基本方針」の検討対象区間に位置づけられて以降、鉄道施設の更新についても検討が行われてきた。2023年には目黒区が自由が丘駅周辺地区都市基盤整備構想を策定。建物の更新よりは時間はかかるかもしれないが、確実に鉄道インフラの更新への道は敷かれつつある。
東急東横線沿いには戦後の闇市に由来する商業施設・自由が丘デパート、ひかり街、サンリキ会があるが、こちらでも街づくり勉強会が始まった。ただ、これらのビルは線路と非常に近く、建物だけ、鉄道だけでの更新は難しいように思われる。鉄道の更新同様時間をかけて検討するということになるのではなかろうか。
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