お互いに「承認し合う」職場はなぜ「幸せ」なのか 「声をかけて・質問して・話を聞く」が基本

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理由は大きく3つあると思います。

まず、基本的には、人の意識の大半は自分の存在が承認されているかどうかに向かっています。それに比べれば、周りの人を自分が承認するというところに意識のベクトルが向く頻度は、それほど多くありません。

当然と言えば当然で、人は社会の中でまずは自分が生き残っていかなければならないからです。生き残るためには、周りからその存在を認識される必要があります。

存在への承認が不足することは、サバイバルの可能性の低下と脳は受け止めます。ですから、脳は自分が認められているかどうかを確認することに気ぜわしい。他人の存在を承認するというところになかなか気持ちは回りません。

アメリカはなぜお互いに存在承認し合うのか

2つ目は、他人を承認することが自分に何をもたらすかについて、明確に言語化できていないという点です。

人は、自分にプラスをもたらすもの、あるいはマイナスを回避してくれるものを行動として選択する傾向が強いと思います。たとえば、アメリカは、日本に比べると、はるかにお互いに対する存在承認が社会全体で多いです。

多種多様な人が集まっている国だからこそ、知らない人とネットワークをつくることが大きな社会的価値をもたらすと明確に意識されています。

加えて、声をかけ合ってお互いが危険な存在ではないかを早期に確認し、リスクを最小限に抑えておきたいという、リスク回避手段としての側面もしっかりあります。

だから、まずは承認し合う。しかし、日本の場合、多様性が極端に少ない国で、「お互いわかっている」というのが前提ですから「なんでわざわざ声をかけ合うの?」となる。存在承認し合う明確なメリットが言語化されていないのです。

そのため、前述したような脳科学の話まで持ち出さないと、なかなか意味づけができません。

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