以来、神谷さんは全国各地、海外であっても、愛用の炊飯器を携え、フットワーク軽く飛んで行っておにぎりをにぎる。
「にぎりびと」という名称は、『スラムダンク勝利学』などの著作のある、スポーツドクターで文筆家の辻秀一さんの命名。
神谷さんがおにぎりをにぎる活動を開始するときに「肩書に困っている」と相談をすると「神谷さんを見ていて、しあわせをにぎる、思いをにぎる、手でにぎる、ごきげんをにぎるイメージが浮かぶから『にぎりびと』でどうですか?」とメールをくれたという。
以来、「にぎりびと」を名乗るようになった。
スペインの二つ星シェフがおにぎりに殺到
神谷さんの「にぎりびと」としての活動は国内ばかりでなく、海外にも広がっている。
2022年にはイタリア・トリノで開かれた世界スローフード大会に参加。120キロの米を手持ちで持ち込み、5日間で2000個近いおにぎりをにぎった。
「にぎっては消え、にぎっては消えで、みなさんに『onigiri! onigiri!』と連呼していただき、もう感動でした」
外国の一流シェフたちにも神谷さんのおにぎりは好評を博す。
佐賀県がスペインから二つ星レストラン「ムガリッツ(MUGARITZ)」のシェフを招いて食のイベントを主催したときのこと、神谷さんもそのイベントに呼ばれておにぎりのブースを出した。
「シェフは3人でいらしていて、私のブースにも来てくださいました。
地元のおいしいものがいろいろ並ぶ中で、おにぎりなんて地味ですよね。しかもおにぎりを手渡しして、受け取ってもらえるかどうかもわからない。手で食べるという文化がないから。でもちゃんと受け取ってくれて、もうニコニコして大喜びで食べてくださったんです。
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