新入社員が離職を考える「3つの時期」必要な対策 誰かに相談したり人に尋ねることが苦手な若者

✎ 1〜 ✎ 221 ✎ 222 ✎ 223 ✎ 224
拡大
縮小

もう一方で、これ以降の時期、研修を終え、配属先にショックを受けるケースもよく見られます。希望した配置先ではなかった場合も多いのですが、その他にも、配属された部署の雰囲気が悪かったり、上司や先輩からそっけない態度をとられてしまったなどが挙げられます。

私が聞いた事例としては、面談の際に上司から「プロジェクトを一緒にやろう!」と言われたのに、実際に配属されたらファイル整理の業務だったため離職、というケースもありました。配属についての希望を聞く企業も多いと思いますが、その際にあくまで希望であること、決して希望通りに配属されるわけではないことを事前に伝えておくことが大切です。希望通りにいかないことは当たり前だと思われるかもしれませんが、いまどきは事前説明が求められるのです。

新入社員の悩みを常に受け止められる体制を

そして何よりも相談したり、気持ちを話せる場をつくるということが必要です。離職を検討していても、話すことで収まることも少なくありません。新入社員の悩みや不安を常に受け止められる体制をつくることが必要だと思います。

私が新入社員研修をしていて感じることは、自ら発信しない人が増えているということです。誰かに相談したり、人に尋ねたりといったことが苦手な人が極端に増えています。実例としては、コピー機の使い方がわからないときに周りの人には聞かずスマホで調べてたり、質問したいことがあったけど上司が忙しそうにしていたから機会を逃して1日が過ぎてしまったということも珍しくありません。

そのためには、受け入れる側のフォローも必要だということ。レクチャーや場合によっては研修を取り入れるものお勧めです。受け入れる側は、ハラスメントの問題もあり敏感になっていますから、新入社員にどう接していいかわからないのです。その結果、おっかなびっくりで距離をとってしまうために、新入社員が職場環境に不満を持ってしまうという悪循環もあります。そうならないための事前教育が必要なのです。上司や先輩だから任せると丸投げしてしまうのは酷ですので、対策が急務だと思います。

この連載の記事一覧はこちら
大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
作家・角田光代と考える、激動の時代に「物語」が果たす役割
作家・角田光代と考える、激動の時代に「物語」が果たす役割
作家・角田光代と考える、『源氏物語』が現代人に語りかけるもの
作家・角田光代と考える、『源氏物語』が現代人に語りかけるもの
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT