レーンですしを回さない、新「スシロー」流生き方 入店から注文・会計まで非接触を貫き通す

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さらにスシローの推し進めたデジタル化が、デジタルスシロービジョン、通称「デジロー」だ。

回転ずし業界では、一時の迷惑動画事件を機に、回転レーンを取りやめる動きが相次いだ。回っている回転レーンで商品を延々と流すのではなく、注文された商品のみを直線レーンで直接提供する方式に変わっていった。

これには廃棄ロスを減らせるメリットがある反面、顧客の見込み買いがなくなるデメリットがある。何より回転レーンには、いろいろ回っている中から顧客が選べるという、エンタメ的要素があった。

デジローではテーブルと垂直に巨大なモニターを設置、映像で流れるすしが映し出される。顧客は画面をタッチして注文でき、従来の回転ずしに近い楽しみ方ができる。景品がもらえるミニゲームもある。「楽しいという声をいただけている」(水留CEO)。

当面は回転レーン復活の予定なし

当然ながら単なる話題作りではない。エンタメ効果でファミリー層を集客できれば、客単価も上げられるという計算である。現在、デジロー導入店は新宿など3店だが、9月までにさらに19店まで増やす。スシローは今後も回転レーンの店舗を復活させる予定はなく、くら寿司は回転レーンで商品にカバーをつけて提供と、両者の判断は分かれた格好だ。

こうした国内スシローのリモデルに加え、アジアを中心に海外売り上げの拡大、養殖など上流部門への進出によって、F&Lは2026年9月期に売上高5200億円(2024年9月期見込み3600億円)、長期では1兆円を目指す。営業利益率は長期で10%以上(同6.1%)が目標だ。

時代の変化に合わせ、融通無碍に進化し続けるスシロー。1兆円企業の仲間入りをするには、もう一段の成長が欠かせない。

※あきんどスシロー親会社の社長インタビューはこちら

金子 弘樹 東洋経済 記者

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かねこ ひろき / Hiroki Kaneko

横浜市出身で早稲田大学政治経済学部を卒業。2023年4月東洋経済新報社入社。現在は外食業界を担当。食品ロスや排出量取引など環境問題に関心。

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