ダイキン井上会長が退任「カリスマ不在」の前途 30年ぶりのトップ交代で直面する"3つの課題"

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かつて日本の電機メーカーが得意としてきたテレビやパソコンなどは、製品のコモディティ化が進んで差別化が難しくなった。格安の労働力と大量生産によってコストを大幅に引き下げた中国や韓国の企業が台頭し、多くのメーカーが撤退を余儀なくされた。

エアコンではダイキンをはじめ、パナソニックや三菱電機などが世界大手の地位を守っているものの、中国の格力(GREE)や美的集団(Midea)などが勢力を伸ばしている。これからエアコンの普及が進むインドや東南アジア、アフリカなどの市場では激戦が予想される。

空調機器で利用されているヒートポンプ技術は、すでに実用化から100年近く経過しており、単体での技術革新は限界に近づきつつある。技術が陳腐化すれば、価格だけが差別化要素となるだけに、日系メーカーにとっては厳しい戦いになる。

そこで求められるのが、個人向け、法人向けともにモノ売りからサービス中心の事業モデルへの転換だ。しかし業界首位の座にあるダイキンですら、まだ青写真を描けていない状況にある。

社内改革も喫緊の課題

こうした取り組みを進めていくうえで避けて通れないのが、3つ目の課題であるガバナンス面での改革だ。

大手企業を中心に経営の透明性を高めるため、取締役会の過半数を社外取締役にしたり、幹部人事を行うために独立した指名委員会や報酬委員会を設置したりする動きが続いている。

ダイキンには10人の取締役がいるが、そのうち6人が社内登用。社外取締役は少数派だ。6月の総会には井上会長の秘書を長年勤めてきた森圭子氏が新たに取締役候補となり、女性取締役が2人に増える。

ただ34人いる執行役員のうち、取締役と兼任する森氏を含めて、女性は2人と少ない。また海外売上比率は8割超だが、執行役員以上の役職に外国人は1人しかいない。多様性の点では改善の余地がありそうだ。

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