ダイキン井上会長が退任「カリスマ不在」の前途 30年ぶりのトップ交代で直面する"3つの課題"

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1つ目は成長戦略の踏襲。これまで井上会長と十河社長が、二人三脚で業績拡大を進めてきた。国内のエアコン市場が頭打ちとなる中で、ダイキンは海外展開を加速。需要地の近くに工場を建設し、M&Aも活用して営業まで一貫して現地化することで世界各地に浸透してきた。

2023年度は空調事業における海外売上高比率は85%に達し、とくにヨーロッパやアメリカ、中国で高い存在感を発揮している。

ただし、足元は成長に陰りが見えている。ヨーロッパ事業の売上高は2021年度以降、毎年3割程度で成長してきたが、2023年度はほぼ横ばいへ減速。ガス価格の値上がりでダイキンが得意とするヒートポンプ式の暖房機器の売り上げが一時的に伸びたが、直近1年間で補助金制度の見直しが相次ぎ、ガス価格の下落もあって需要が失速している。

アメリカでは現地で販売会社の買収を進め、課題となっていた営業力の強化に乗り出している。ただ5月の決算会見時に十河社長は「レップ(販売会社)の買収は想定より遅れている」と語っている。インフレや金利の上昇といった外部環境の変化もあり、2023年度には米州全体で売上高が前期比82%に沈んだ。2024年度も前期比ほぼ横ばいを計画している。

コト売りへの移行も課題

2つ目の課題は、ビジネスモデルの転換だ。中長期ではエアコンなどの空調機器の販売にとどまらず、サービスで収益を得る事業構造への転換が求められている。

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