リーダーが必ずしも「優秀である」必要がない理由 優れた人材を見出し仕事を任せることが重要

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リーダーは、立場上多くのストレスを抱えます。

メンバー時代と比べて、接する人や部門が増え、中間管理職として上下に挟まれるからです。そんなとき、他部署のメンバーやチームのメンバーについて、悪口の1つも言いたくなるかもしれません。しかし、そこはぐっと堪えましょう。

理由は3つあります。

1つは、メンバーがついてこなくなるからです。悪口を言うリーダーの下では仕事が楽しくならないので、メンバーが前向きになれません。それはチーム全体のパフォーマンスに影響するのはもちろんのこと、メンバーの心もリーダーから離れてしまうのです。

2つ目の理由は、上層部から評価されなくなることです。上層部は、現リーダーの中から、次のポジションのリーダー候補を考えます。ネガティブ発言が目立つリーダーは、その候補に選ばれません。

そして3つ目は、悪口を言った相手とも、いずれ一緒に仕事をする日が来るからです。それまであなたが口にした悪口や不満は、不思議なもので本人に伝わっています。昔から「人の口に戸は立てられぬ」と言うように、リーダーの発言は漏れ伝わるものだからです。

長いキャリアを歩んでいると、メンバーが横並びのリーダーになったり、隣の組織のリーダーを自分がやることになったりと、交わらないと思っていた人たちと仕事をする局面が出てきます。

そうなったとき、悪口を言われていた人は気持ちよく仕事をしてくれないでしょう。ときには足を引っ張ってくるかもしれません。

ですから、悪口を言うことに何のメリットもないのです。

ネガティブ発言の百害

悪口、不平不満は、言うまいと思っていても、「つい」言ってしまうものです。なぜかというと、「言わない」こと自体がストレスになるからです。ストレスを吐き出せないことがストレスなのです。

もう1つ理由があります。それは、同じ不平不満を抱えている仲間がいるということを確認したいからです。自分だけでなく、他の人も同じようにストレスを抱えている、という安心感を得たいのです。

これらが気持ちの根底にあるので、自分からは言わないようにしていても、誰かが口火を切ると、つい乗ってしまいます。

ちょっとした雑談の中で誰かが言い始めたり、飲み会の場でそのような話になってしまったりということがよくあります。

しかし、そのような場面でも、私が見てきた優秀なリーダーたちは「努力」して、他人の悪口を言わないように自制していました。

同意しなかったり、話をそらしたりして、できるだけ自分はその噂話に乗らないように会話をコントロールしていました。ネガティブ発言をすることは、百害あって一利なしと知っていたのでしょう。

メンタルコントロールの1つとして気をつけておきましょう。

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