実は「世代間ギャップが大きい国」だった日本 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」幻影からの脱却

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この場合、私自身の経験にそくして言えば、日本の現状について「世代間のギャップ」の大きさを感じることが多い。つまり学生など若い世代に接していると、日本の未来について強い危機感あるいは悲観的な展望をもっている層か、比較的淡々とした認識をもっている層に分かれる。しかしいずれにしても、団塊世代前後の人々がもっているような、日本についての肥大した“大国意識”のようなものは彼らにはない

 私はこれはむしろ望ましいことと考えている。そして日本にいま求められるのは、“集団で一本の道を登る”ようにひたすら「拡大・成長」を求めた高度成長期とは異なる、「成熟社会の豊かさ」の構想だろう。

ここではこうした話題について、2023年に刊行した『科学と資本主義の未来』での議論を発展させつつ、「日本像の再構築」という関心を土台に、“「経済大国」から「アニミズム文化・定常文明」へ”という大きな展望も視野に入れながら、幅広い角度から考えてみたい。

日本は世代間のギャップが大きい国

先ほど「世代間のギャップ」という点にふれたが、ある意味で日本ほど、価値観や行動様式に関する世代の間のギャップが大きい国は珍しいのではないかと私は思ってきた。

その理由は簡単で、それは日本という国が、“アジアの中で最初に近代化そして資本主義化・西欧化という変化を成し遂げ、急速な「追いつけ・追い越せ」型の発展を経験すると同時に、多くの矛盾に直面し、その結果、ある時期からは急激な低成長への移行と高齢化そして人口減少の道を歩むことになる”という、特異な発展パターンを経験してきたからである。

こうした社会的変化ないし社会変動の大きさは、日本の人口トレンドに象徴的に示されている。つまり明治以降の日本の人口変化のグラフはまるで“ジェット・コースター”のような形状となっており、明治維新以降の急速な人口増加およびそれに伴う経済規模の急拡大と、2008年のピーク以降の、それまでとは真逆の人口減少そして経済停滞という、極端な形をとっているのだ。

そしてこれだけ経済社会の変化率が大きければ、そのことは各々の世代が生き、経験してきた時代の社会的状況が際立って異なることを意味するから、自ずとそれは日本における「世代間のギャップ」の大きさにつながることになる。

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