長い歴史がある中で、今回のしろかつが登場したのは7年ほど前。新業態を検討する中で生まれました。
「ねぎしの出店エリアは関東圏に集中しており、商圏を広げるか、あるいは同じエリアで新たな業態を始めるか実験していました。その中で、強みである定食を軸にして、今度は豚肉をメインにした店ができないか、と考えたのです」
新たな店舗の看板メニューが、トンカツ。さらに、主に女性客をターゲットにして「罪悪感のないカツを作ろう」というコンセプトで開発を進めていきました。そこでのポイントが「軽い」「柔らかい」「茶色ではない」こと。都内にいくつかあった、白いトンカツを提供している店を研究しながら、しろかつの原型ができていきました。
とはいえ、見た目が白いトンカツは、長い時間をかけてゆっくり揚げていく必要があり、効率の良いオペレーションを実現する上ではネックでした。そこで、作業工程を分析して分解していく中で、揚げる前に肉を低温調理しておき、注文が入ったら衣をつけてさっと揚げる方式にたどり着いたと中山さんは振り返ります。そのため、豚肉の揚げ物でありながら、断面の美しい色合いを実現できています。
素材の面では、トウモロコシの飼料で育ち、脂身もしっかりしている豚ではなく、小麦で育ち、あっさりとした肉質が特徴の豚肉を北米から輸入。パン粉も、都内の有名店が仕入れている、パン粉専門の老舗業者から仕入れており「可能な限り衣を白くしたいので、揚げたときに色が最も付きにくいものをお願いして仕入れています」と中山さんは話します。
新業態は閉店しても、しろかつは生き残った
こうした工夫もあって、新業態「ねぎポ」では狙い通り女性のファン層を獲得。2号店も出して順調に思えたものの、コロナ禍が襲いました。
「コロナ禍となり、新たなことを進める前に、まずねぎしに注力しようということになり、ねぎポはいったん終了しました。ただ、お茶の水にあったねぎポは目と鼻の先にねぎしがあり、後者が古くなっていたんです。そこで、古いねぎしを閉店して、店舗としては新しいねぎポをねぎしに鞍替えし、しろかつもお茶の水店限定で残すことにしました」
すると、ねぎし唯一の揚げ物メニューであり、見た目も珍しいことから徐々にファン層を拡大。お茶の水店以外のねぎしでも、扱う店舗を増やしていきました。今では一番人気で3割ほどの人が注文するという「まるねセット」に次ぐメニュー群の一つとして、しろかつは確固たる地位を築いています。
ここまでの話を聞くと、これからしろかつを扱う店舗が徐々に増えていくのでは、とも感じます。しかし、中山さんは「揚げ物ができるほどスペースのある店舗は限られており、今後も販売する店舗を全店に広げることはないと考えています」とピシャリ。まだまだしろかつはレアメニューとして、ひそかに人気を集め続けることになりそうです。
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