JR東日本の株主が、利益よりも重視するもの

鉄道会社にとっての株主総会の意義とは?

JR東日本の株主総会は東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開かれた。出席株主数は1900人だった

案の定というべきか。6月23日に開催されたJR東日本の株主総会において、多くの質問が集中したのは「安全」に関するものだった。

4月12日に発生した山手線の電化柱倒壊事故は、あと一歩で大惨事になりかねないところだった。また4月29日には、東北新幹線の架線切断で4時間半にわたって不通になるという事態も発生した。

JR東日本側は株主総会の冒頭で、会社発足以来、3兆円を超える安全投資を行ってきたことを強調したうえで、2つのトラブルについて陳謝。再発防止のため、万全の体制を整えていると説明した。

だが、予防線を張ったにもかかわらず、その後の質疑応答では、株主から同社の安全姿勢を問う声が相次いだ。マイクを握った株主の1人は「利益は安全運転の後についてくるものだ」と、JR東日本に安全対策の徹底を促した。

被災路線の復旧にも多くの質問

東日本大震災で被災した路線の復旧も、同社にとっての大きな課題である。そのため、復旧状況に関する質問も相次いだ。三陸地方の被災地を何度も訪れているという株主は「阪神・淡路大震災時のJR西日本と比べて、三陸の復旧工事は非常に遅い」と苦言を呈した。「復旧だけでなく、復旧後にどのように外国人観光客を東北に呼び込むのか」という質問も出た。

このほか、羽田アクセス線に関する質問も複数あり、株主からの期待の大きさをうかがわせた。株主からの質問の多くは、収益拡大策や株主還元といったことよりも、安全性や利便性の向上に関するものが上回った。米投資会社のサーベラスが西武ホールディングスに対して主張したような「不採算路線を廃止して、もっと利益を増やせ」といった意見も出されなかった。

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