オリックスが6月23日に開催した株主総会には、会場の虎ノ門ヒルズ5階の2つの会議室があふれかえるほどの株主が訪れた。その数約2400人は、前2014年の4倍、一昨年と比べると実に8倍だ。会場では立ち見も出て、手土産が足りなくなった。今回の総会で新たに取締役に就任する竹中平蔵氏(小泉政権下で経済財政担当大臣、総務大臣を務めた)を一目見ようと駆けつけた株主もいた。
オリックスが2014年度の1年間に開催した個人向けIRセミナーは29回。大幅な増配の実施や新たな株主優待制度を創設するなど、"個人株主重視"の戦略が的中した形だ。
総会では議事が円滑に進み、ヤジ一つなかった。6期にわたって増収増益を続けていることから、経営陣への批判や不満の声もなかった。
宮内義彦前会長への44億円功労金も異議なし
宮内義彦前会長(現シニアチェアマン)への功労金として44億6900万円を支給することが事業報告書の中で明らかにされたが、「どのような考えに基づくのか」といった質問は出たものの、報酬委員会議長を務めるロバート・フェルドマン取締役(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)が計算根拠を丁寧に説明したこともあり、疑問や異議を述べる株主はいなかった。
むしろ、太陽光や地熱開発などのエネルギー分野への投資事業や、韓国事業、女性活用、金利リスクへの対処、関西国際空港の運営への参画方針など、経営戦略や事業運営に関する前向きな質問が目立った。そして最後に質問に立った株主からは、「これまでの説明を聞くと(わが社は)完璧無比のようだが、弱点はどこにあるのか」などと、経営陣を賞賛するかのような質問すら出た。
これに対して、宮内氏からバトンを受け継いで議長を務めた井上亮社長は、「3万2000人の従業員を抱えていて大企業病に陥るリスクが高まっている。ガバナンスを末端まで浸透させていけるかが最大のリスク」などと謙虚な受け答えに終始した。ただ、言葉の端々には経営への自信が滲み出ていた。
オリックスのスタートはリース業だが、現在では生命保険業や銀行業、さらには温泉旅館や水族館の運営まで多角化している。また、毎年度にわたって、企業の買収や売却が相次ぐなど、資産の入れ替えも頻繁に続けている。そのため、「何が本業かわかりにくい」「業績変動リスクが大きい」「レバレッジが高い」といった指摘がアナリストからは聞かれる。
それだけに株主総会は、投資家との対話という面でも重要だ。オリックスでは個人株主比率はまだ5.4%に過ぎず、外国人投資家が6割近くを占める。今回の総会で多くの株主が肯定的な反応を示したことで、株価の下支え効果も期待できそうだ。
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