富士通は6月22日、横浜市の新横浜プリンスホテルで株主総会を開催。記者は別会場のモニターで総会の様子を視聴した。今回の所要時間は1時間51分(昨年は1時間50分)。会場に訪れた株主は2107人(同1992人)だった。山本正已社長が会長に退くとともに田中達也副社長が社長に昇格するなど、取締役の選任や定款の一部変更の議案はすべて承認された(以下、肩書きは6月22日の臨時取締役会で正式就任後のもので表記)。
山本会長は冒頭、「2015年度の業績予想については、田中から申し上げる」と述べて、自身は、2014年度の決算についてのみ説明。2010年の就任から5年間握ってきた経営のバトンを営業出身の田中氏に引き継ぐことを、改めて印象付けた。
「対処すべき課題」について説明に立った田中社長は1980年代に10%以上だった営業利益率がこの数年は5%以下に低迷し、営業利益も2000年度の2440億円をピークに、その後は落ち込んでいることに言及。「営業利益2500億円、営業利益率5%という利益成長の壁が存在する」と述べ、乗り越えるための施策として、クラウドなどサービス領域へのシフト、イノベーション領域の成長加速、グローバル体制の強化を”3本の矢”として打ち出した。また、2015年度を営業減益予想としたことについては「ビジネスモデルの変革のため、さらなる費用が必要」と述べるにとどまり、詳細は今秋までに予定する経営方針説明会で発表するとした。
株主と経営陣との主な質疑応答は以下の通り。株主からは具体的な成長戦略を打ち出すことを求める声が多く出た。
「ビッグデータの処理に人工知能を取り入れる」
株主A「リストラで300億円を使うということだが、現社長が続投してリストラを終わらせた方が良いのではないか。なぜ、今、社長を交代するのか」
山本会長「最初から直球の質問がやってきた。300億円はリストラに使うのではない。ビジネス変革のために必要な経費だ。そのビジネスを止めるのではなく、時代に合うようにどう強くしていくかだ。そのためには変革に着手していかなければいけない。80周年の今年、新たな成長に向けた第一歩を踏み出すために、新たな体制、気持ちで臨むことが重要だと考えている」
株主B「人工知能が発達し、市場が拡大してきている。人工知能と絡めた方策を成長戦略に入れても良いのではないか」
山本会長「どこまで人工知能に含めるかについては幅があるが、富士通はコンピューターが始まった当時から人工知能について深く研究してきた。どのようにICT(情報通信技術)の中で使っていくのかは、大きなテーマだ。ビッグデータをどう処理するかに、人工知能の機能を取り入れることを約束したい」
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