6月17日、東京・九段下の日本武道館で、日本航空(JAL)の定時株主総会が開かれた。会場を訪れた株主数は1104人(昨年は1135人)。書面を含めた出席者数は3万3696人。10時に開始され、終了までの時間は2時間14分(昨年は2時間26分)だった。
総議決権数247万3906個に対し、議決権行使株式数は株主総会終了時点で194万3794個。「剰余金の処分」「定款一部変更」「取締役9名選任」の3議案はいずれも可決された。
2014年度のJALの業績は絶好調。営業利益率は13.3%をたたき出し、自己資本比率も52.7%と、世界のフルサービスキャリアでも類を見ない高水準。とはいえ質問に立った15人の株主からは、経営陣に対する厳しい声が飛んだ。中でも目立ったのは、直近の不祥事の問題から、改めて30年前の御巣鷹山の日航機123便墜落事故や、2010年の経営破綻に伴う整理解雇を問い直す声だった。
「休職扱いは法律に則ったもの」に納得しない株主
「経営破綻後、利益が上がっているのは喜ばしいこと。一方で16日、マタハラ(マタニティハラスメント)での提訴があった。会社(JAL)が誠実に対応していたら避けられたはずだった」。質問に立ったある女性株主が、強い口調で経営陣に詰め寄った。
指摘されたのは、JALの客室乗務員の女性が16日に起こした訴訟だ。客室乗務員が妊娠した場合、JALでは母体保護の観点から機内での乗務は停止し、地上業務に移ることができる制度がある。ところが今回の場合、地上でのポストの空きがないとして休職を命じられたといい、女性は休職の無効などを求めて東京地方裁判所に提訴した。
前出の女性株主は30年前の事故にも言及した。「日航機123便の事故から30年がたった。事故の背景には経営体質の問題があり、中でも労使関係の安定が求められたはず。積極的に解決するつもりがあるのか」。
「訴えが起こされたことは非常に残念に思っている。客室乗務員が妊娠した場合、配置する勤務場所があればそちらにご案内するが、ない場合は休職扱いになる。これは法律に則ったものと認識しているが、地上勤務のポストの数を増やせるよう努力していく」。JALの常務執行役員・人財本部長の清水新一郎氏はそう述べたが、その後に元客室乗務員だという別の女性株主が質問に立ち「希望者全員が(妊娠後に)地上職に就けないのはおかしい」と繰り返した。
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