ドコモの株主はアナリストより手厳しかった 「お客よりNTTを向いているんじゃないか」

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前期、減収減益に転落したドコモ。株主総会では複数の株主から厳しい質問が相次いだ

NTTドコモは6月18日、千代田区のホテルニューオータニで株主総会を開催した。今回の所用時間は2時間8分(昨年は2時間7分)。会場に訪れた株主は4077人(同4787人)だった。剰余金の処分、定款の一部変更、監査役4名の選任などの議案は、すべて承認された。

加藤薰社長は冒頭、今期の戦略について、さまざまなパートナーと組んで新たなサービスを生み出す「協創」の取り組みを加速していくこと、独自コンテンツを提供する「dマーケット」でコンテンツ拡充を加速し、今期1500万契約を目指すことなどを語った。そのほか、通信以外の分野で営業利益500億円、2017年度に1000億円を実現する目標や、徹底したコスト削減の実施についても言及した。

今回の株主向けのお土産は、子会社で野菜宅配を手掛ける、らでぃっしゅぼーやのお菓子セット。野菜ジュースとマドレーヌ、バームクーヘンのセットだ。昨年までは総会後にラウンジでパンなどの軽食を提供していたが、今年はコスト効率化の観点からとりやめている。

 株主と経営陣との主な質疑応答は以下の通り。昨年に続き、経営方針や業績の拡大策について、問う声が多かった。アナリスト向け決算説明会などで、厳しい意見が寄せられることも多いドコモだが、株主の質問はそれ以上の厳しさだった。

新料金プランの減収が響いた

――前期決算の営業利益率が低下している。コストダウンの努力が足りないのではないか。

佐藤啓孝取締役(CFO):昨年に(音声定額を含む)新料金プランを導入して、売上高が下がっている。新プランによる減収をコスト削減でカバーできていないのが現状だ。ただ、コスト削減は、利益を出すためだけでなく、競争力を強化するためにもやっている。請求書の発行コストや基地局の設置について再利用をするなど、さまざまな面でコスト削減をやっていきたい。

――株価の動きが思わしくない。どんな成長戦略をやることで利益を生み出し、株価につなげるのか。経営リーダーとしてはっきり説明していただきたい。

加藤社長 株価について直接、何かすることはできないが、大切なことは企業の価値を上げること。今は協創という形で、力のあるパートナーと新しい価値を創造していきたい。こうした取り組みで、「ドコモもやるじゃないか」と評価いただいて、それが株価につながればありがたいと思っている。

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