「もっとゆっくり長いスパンでいいから、じっくり開発してほしい」株主総会の終了後、会場から出てきた女性株主(65)はこう話した。別の男性株主(65)は「八郷(隆弘)新社長にすぐには期待しない。いい意味でホンダイズムを継承していってほしい」と述べた。
こうした声が聞かれるのも、2014年度は営業利益と純利益が3期ぶりの減益と、株主にとって残念な結果に終わったからだろう。2013年9月に発売した基幹車種の「フィット」、同年12月に出した「ヴェゼル」でリコール(無償回収・修理)が相次ぎ、後の新車販売スケジュールに大きな影響が及んだ。また、タカタ製のエアバッグ問題でも対応に追われるなど、一連の品質問題をめぐる混乱が業績の足を引っ張った。
株主総会に緊張感がなかった?
およそ1900人の株主が集まった会場で、ホンダの伊東孝紳社長は、「お客様や株主の皆さまに多大な迷惑、ご心配をおかけして申し訳ない」と、リコール問題に対して陳謝した。
だが、会場を後にする男性株主(67)は納得のいかない様子で、「15年くらい株を持っている。定年退職したので今年初めて総会に出た。あれだけの問題(リコール)を起こしておきながら、緊張感がない。商品が消費者の安全に直結する食品会社の総会に出たこともあるが、よっぽど緊張感があった」と語った。
フィットのリコール問題については、当時、技術部門のトップだった山本芳春取締役(元本田技術研究所社長)が総会で説明したものの、「(問題の)核心に触れていないような気がした」(前出の男性株主)と不満げ。ホンダOBだという別の男性株主も、「フィットやヴェゼルなど、品質面で失敗した責任がしっかり取られていないように思う」と批判的だった。
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