ドコモ、「増益計画」の裏で苦しい"やりくり" 膨張続けるコストに疑問の声が噴出

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2016年3月期は増収増益計画を発表した加藤薫社長。6800億円の営業益は最低限の数字と説明したが・・・。

やはり厳しい決算だった。NTTドコモの2015年3月期(2014年度)決算は営業収益が前期比1.7%減の4兆3833億円、営業利益は22%減の6390億円と減収減益に終わった。新料金プランによる通信収入の減少や割引費用の膨張、そのほかの費用増が要因だ。ドコモはすでに昨年10月、中間決算の発表時に業績予想を従来の7500億円から6300億円に下方修正していた。

契約数は大幅に伸びたものの……

音声定額を含む新料金プランの導入(2014年6月)を契機として、スマートフォンやタブレット端末の販売は堅調だった。東京電力向けのスマートメーターなども貢献し、契約数においては349万の純増(前期156万)と大幅に伸ばしている。しかし、新料金プラン導入と同時に、より低額なデータ通信量のプランを選ぶユーザーが激増したため通信収入は減少、端末値引き費用も昨年より膨張した。赤字続きのスマホ向け放送局「NOTTV」を運営するmmbiの減損損失302億円も計上している。

続く今2016年3月期(2015年度)は営業収益4兆5100億円、営業利益6800億円と一応の増収増益を計画する。しかし、営業増益幅は小さい。相変わらず、コストの膨張によるマイナス影響は大きなものだからだ。端末割引費用は2014年度より1100億円増加、さらに端末販売による収支は300億円悪化し、データ通信量の増加に連動するコストも1000億円ほど増加する。これをマーケティング費用やネットワーク関連を中心とした2100億円ものコスト削減と通信収入の増加、それ以外の分野の収入増加で補うという、"やりくり"による増益計画だ。

販売台数はスマホを軸に伸ばし、2015年3月から開始した光回線サービス「ドコモ光」も3月末の23万契約から180万契約に引き上げる。また、独自コンテンツサービス「dマーケット」など、通信分野以外の会員数も積み上げて収入を拡大する算段だ。

決算発表の会見で加藤薫社長は「6800億円の営業益はコミット(約束する)の数字で、それ以上の利益を出すようにしたい。できれば中間決算の時期に良い報告ができるようにする。結果にこだわって事業を推進したい」などと語った。

ただ、コスト削減計画については厳しい質問が飛んだ。

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