なぜ中古スマホのニーズが高まっているのか 世界最大の端末卸会社のキーマンを直撃

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ブライトスターで日本の責任者を務めるラッセル・コーエン氏。中古ビジネス拡大の背景を語った
ソフトバンクは2014年1月、世界最大の端末卸売業者であるブライトスターを買収した。世界50カ国以上に拠点を持ち、100カ国以上の販売網を誇る。同年4月にソフト流通のソフトバンクコマース&サービス(C&S)が加わり、売上高は1兆円を超える。ソフトバンクモバイルをはじめ、グループの米国携帯大手スプリントの戦略にも深く関わっている。
現在、ブライトスターが最も重視するのが中古端末の下取りビジネスだ。北アジア担当で日本の責任者を務めるラッセル・コーエン氏は、先進国と新興国、それぞれの事情から、中古端末マーケットが世界規模で急成長していると指摘する。

 

――中古の携帯電話市場はどのような状況か?

世界的に需要が拡大しており、われわれの中でも下取り関連のビジネスが急成長している。米国や日本、西欧諸国にアクセスし、その端末を入手して新興国市場に卸すものだ。

市場拡大の要因は、メーカーが約1年のサイクルで新製品を出していること。そして、多くの場合、携帯事業者がおカネを出してユーザーの端末の支払い額をゼロ円で済むようにしていることが挙げられる。これによって、特に日本や欧州、米国、アジア、豪州などのユーザーは以前よりも買い替え頻度が高まっている。

 一方、南米やアフリカでは、発売から2~3年経過した端末も非常に魅力の高い端末だ。iPhoneの場合、「5」だけでなく「4s」のニーズも高い。機能がまだ高く、新興国のユーザーの手の届く金額で流通しているからだ。

 ネットの利用はスマホがメイン

現在は世界中の多くのユーザーがスマホを使い、インターネットを利用している。2000年初頭まではパソコンを使っていたが、東南アジアなどの新興国はモバイル端末でネットに接続し、SNSやメッセージング、教育目的などに利用するようになった。こうした点から、需要も大きく伸びている。

――いつ頃から下取りビジネスが活発化してきたのか?

世界中の事業者が下取りを強化している。日本や米国では、下取りは主要キャンペーンとしてとらえられるようになった。ブライトスターはこれをチャンスとみて4~5年前から取り組み、人員も技術も投じてきた。サービスは携帯事業者と共に始めた形で、市場価格の情報を提供したり、売買のためのツールを提供したり、環境に配慮するといったプロセスを紹介している。

中古市場でも一番の人気を誇るiPhone。もうひとつの人気機種は?

多くの携帯事業者は中古品の取引を外注している。中古品の輸出入に関しては、たいていの国で制限やルールがあるが、われわれは色々なエリアで経験を積んでいるのでノウハウがある。

――中古市場での人気の機種は?

一番人気はiPhone。世界的な商品だし、アップルは廉価版を出していない。5Cも(新品の端末としては)中間の価格帯だった。中古品は新品でアクセスできなかった市場にアピールできるし、環境に優しいということで、アップルは下取りのマーケティングを推進してきた。そうしたこともあってiPhoneが人気だ。

もう1つがサムスンのギャラクシー。この2機種がグローバルブランドとして認知されている。これらの端末は修理も活発に行われており、関わる会社の数も多い。

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