なぜ中古スマホのニーズが高まっているのか 世界最大の端末卸会社のキーマンを直撃

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――中古端末はどういった流れで世界の市場で流通しているのか?

われわれが扱う中古品は主に修理済みの端末で、大手事業者が集めたもの。小売店から集めるケースもある。端末はいくつかのチャネルで販売している。修理専門の会社はブライトスターにとって重要な取引先だ。部品として利用されることもあるし、修理して価値を高めて販売することもある。ブランドや価格によって処理は異なるようだ。ブライトスターも一部で修理をやっている。

国によっては特定のマーケットに特化した代理店があり、ブライトスターから仕入れて販売する。中小の卸売業者の場合、規模の面で携帯事業者と直接取引することができないので、ブライトスターから買うこともある。 

 最大の市場は香港

プロフィール ラッセル・コーエン 豪州の通信会社最大手テルストラなどを経て2006年にブライトスター入社。豪州、香港、シンガポール市場などを担当。14年4月から日本の責任者として、ソフトバンクC&Sとのシナジー発現を進める。ソフトバンクC&Sの取締役(ブライトスター事業推進担当)も務める

最近では、ほとんどの端末が香港やシンガポール、ドバイ市場などで流通している。ドバイはアフリカ各国や中東地域への入り口だ。南米はフロリダ州のマイアミを通して流れていく。

携帯だけでなく、多くの製品がここを入り口に南米に入っていく。ブライトスターの本社もマイアミにある。中でも香港は非常にメジャーなマーケット。中古品は特に活発に取引されている。新規の端末や電化製品もここ30~40年で大手市場になったので、下取りの拠点にもなっている。香港も端末だけでなく色々なものが取引されている。

――香港市場は品質面などで取引が難しいと聞く。

香港には多くの人員を抱え、品質をチェックする専門のスタッフもいる。そういった意味でも難しいとは思わない。新規も中古も成功している。われわれは端末を直接事業者から買う。収集元が確かな事業者から来るため、偽物がなく、間違った修理がされていない端末を仕入れられる。

中古市場としての米国の魅力

――現在、重視している地域は?

 米国は非常に大きな市場で、(ソフトバンク傘下の)スプリントとは協力体制を敷いてサービスを提供している。スプリントの下取りプログラムは、ここ数年にわたって成功している人気の高いサービスだ。新しい料金体系やサービスを提供する上で、われわれも重要な役割を果たすことができていると思う。

グループで投資を加速しているインドも重要だ。新しいジョイントベンチャーを設立しており、そこでバーティ・エアテル(ソフトバンクとも事業面で提携している携帯事業者)にサービスを提供している。小売りや流通事業に焦点を当てて新規ビジネスをやろうとしているので、特に注目している。インドは現状、中古品を持ち込むことに制限があるが、チャンスは増えていくと思う。いずれ現地での下取りや海外の端末を持ち込めるようになればいい。

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