「VAIOフォンと初代iMac、戦略は同じだ」 日本通信の三田聖二社長に聞く

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さんだ・せいじ●1949年生まれ。カナダ国鉄入社後、シティバンクやメリルリンチ、モトローラ・インク副社長、アップルでも副社長と日本法人社長を務めるなど、数多くの企業でマネジメントを経験。96年に日本通信を設立し社長に就任。

3月12日、ソニーから独立したVAIOと日本通信は共同で「VAIOフォン」を発表した。日本通信は通信事業者からインフラを借りて通信サービスを提供する「MVNO」(仮想移動体通信事業者)の草分け。同社の福田尚久副社長は、MVNO各社が採用する端末について「現状では消極的な選択肢しかない」として、価格面やスペックなどでニーズのある「ど真ん中に投げ込んでいく」と宣言した。

だが、発表された端末は5万1000円の価格ながら、パソコンにおけるVAIOのイメージとは乖離のあるごく普通のデザイン、スペックだった。また、パナソニックの「ELUGA U2」(台湾クアンタによるODM〈設計・生産〉)と酷似している点も指摘されており、業界に詳しいITジャーナリストからは疑問や批判も飛んでいる。

VAIOとの協業の本来の狙いは何か。今後、どのようにVAIOフォンを成長させるのか。日本通信の三田聖二社長に聞いた。

ブランディングでスマホを提供する戦略

――製品にVAIOブランドであること以外の特徴がない。何をアピールして販売していくのか。販売戦略が見えにくい。

日本では最近、誰もやらない戦略だからだろう。つまり、ブランディングでスマートフォンを提供するということだ。ブランド戦略をよく知らない方からすれば、「何をバカなことをやっているんだ」と思われてしまったかもしれない。スマホはすでにコモディティ化した製品で、もはや差別化はできない。技術者は何とか絞りだそうとするが、少し付加価値があるだけではユーザーは評価しないし、おカネも払ってくれない。コモディティを売るためにはマーケティングしかない。

たとえば、コメはコモディティ化した商品だが、地域ごとのブランド戦略で販売している。高級腕時計も、コストで言えば30~50万円出せば最高の機能が買える。ユーザーがそれ以上のおカネを払うのは、ブランドに対して払っているわけだ。

コモディティ化した製品に対して、やれることは3つ。ブランディング。そしてパッケージング。ペットボトルに水を入れれば石油より高く売れるでしょ。通信ならSIMカードがそう。11年に通信速度を100キロバイトに制限したSIMカード(月額980円)を売り出した。これもパッケージングだ。最後に地獄の戦略と言われるのが、誰でもできる価格戦略、プライシングだ。

われわれも、今回の戦略が正しいかどうかはわからない。だが、第1ステップとして、VAIOのブランドにどれだけの力があるかということを試してみたいと考えている。

――そこまでVAIOのブランドを評価している理由は?

VAIOブランドは日本の資産だ。発表会では2回、「VAIOはグローバルでアップルと対抗できるブランド」と言っている。コンピュータ業界にはアップルのブランドはあるが、それ以外のDELLやHP、IBMにブランド力がない。唯一残っているのがVAIOだ。発表会の様子は海外メディアでもすぐに報道された。これはVAIOのブランドを評価しているからだ。海外ではソニーの「Xperia」よりVAIOのほうが圧倒的に知名度は高い。テレビや映画でパソコンが出てくる場面があるけど、そのほとんどがMacBookとVAIOだ。

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