ドコモ、「増益計画」の裏で苦しい"やりくり" 膨張続けるコストに疑問の声が噴出

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厳しい質問とは、「事業がうまく回っていないのではないか。もう少しコストを抑える計画にすべき」「端末割引費用が膨張しすぎているからではないか」「他社と通信品質に大きな差がないのに設備投資を削減できないのはおかしい」といったものだ。

これに対し、ドコモは昨年から、KDDIと比較してどの分野のコストが高いのか検証をしていること、今期以降もコスト削減額を積み増しできることなどを説明している。

「競争ではなく協創」とは言うけれど

スマホ向けコンテンツサービス「dマーケット」をアピールする加藤薫社長。これもコンテンツプロバイダーとの「協創」ということだろう(撮影:梅谷秀司)

また、今回は中期的な取り組みとして、顧客を奪い合う従来型の「競争」ではなく、さまざまな分野のパートナーと提携してサービスを提供する「協創」を強化するといった説明もあった。詳細は5月中旬の新商品・サービス発表会で披露するという。

だが、これに対しても「以前の“新領域”から“協創”に名前を変えただけ。何がどう変わるのがまったくわからない」などと手厳しい意見が相次いだ。

KDDIやソフトバンクとの競争はもちろんのこと、通信会社のインフラを借りて通信サービスを提供するMVNOが急成長し、楽天やTSUTAYAなどの大手が格安スマホに参入するなど、通信業界の競争はさらに激化しつつある。2013年度、2014年度と2期連続で期中の下方修正を発表したドコモ。今期は期初計画を死守できるのか。進捗がより厳しく問われる1年となりそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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