今月発覚した、操縦室で機長が客室乗務員と私的な記念撮影をして見張りを怠り、国土交通省の厳重注意を受けた問題にも、厳しい指摘が飛んだ。「業績がいいときこそ、緊張感を持って業務に邁進していただきたい。コックピットでの記念撮影のような問題は、人命やおカネを預かる日本航空として、しっかり対処してほしい」という株主に対し、植木義晴社長は「この機長一人だけの問題ではない。社員全員の心の中に、隙や緩みが出てきたのではないか。安全の基盤をしっかり作っていきたい」と回答した。
整理解雇者を再雇用せよとの声
さらに、昨年の株主総会から引きずっているのが、10年の経営破綻に伴いJALが165人を整理解雇した問題だ。3人の株主が繰り返し指摘をした。「人員不足と言われている今、この165人を再度(JALに)戻すことはできないのか」。
執行役員総務本部長の日岡裕之氏は「経営破綻に伴い、事業計画の縮小と人員の削減が必須となった。特別早期退職、希望退職などを行ったが不十分で、10年12月に165人を整理解雇した」と説明したうえで、元操縦士らが解雇取り消しについて求めた訴訟については「15年2月に最高裁判所の決定を受け、整理解雇の有効性は法的に確認され、決着した」と述べた。
人財本部長の清水氏は「JALの再建にあたっては株主や債権者にも負担を強いた。被解雇者を戻す考えはない」。それでも別の株主らが繰り返しJALの回答に疑問を呈した。質疑応答が締め切られ、議案の採決に移っても「人財本部長の答弁はまったく不十分!」と叫ぶ株主もいた。
墜落事故や経営破綻という重い過去を背負ったJAL。業績が回復しても、一部株主のJALを見る目はいまだに厳しいままだ。信頼を取り戻すには、まだ時間がかかるのかもしれない。
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