低調な富士通、具体的な成長戦略は何なのか 「元子会社のファナックを見習って」との声も

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株主C「80周年なので記念配当をする考えはあるか。また、株主優待として、(オフィシャルスポンサーであるサッカーJ1の)川崎フロンターレのチケットの優待券を出すのはどうか」

山本会長「非常に個人的な興味はあるが、株主還元は業績をしっかりと上げて、配当等でお返しすることが基本的な考えだ。フロンターレのチケットは人気があってなかなか確保できないが」

株主D「グローバル化を目指している中で、これまで外国人取締役がいないことが気になっていた。(欧州や中東などを担当する取締役執行役員常務に就任予定で、富士通初の外国籍取締役となる)ダンカン・テイト氏が富士通にとって新しい風になると期待している。就任にあたっての抱負をお話し頂きたい」

ダンカン・テイト取締役執行役員常務「世界が急速に変化する中で、顧客も変革とグローバル化を遂げつつある。私の役割は、富士通の海外市場や企業ニーズの理解を助けることにある。そうすることで、株主利益を最大化する貢献ができると考えている」

「ファナックの業績に経営者として感動」

株主E「業績を上げるために研究開発とその費用対効果をどう考えているか。また、私も取引があるので知っているが、(元富士通子会社で営業利益率40%台の)ファナックは働き方が違う。富士通の社員は見習ってほしい」

山本会長「私もファナックには何度も訪問し、よく話を聞いてきた。ファナックの業績に経営者として感動するとともに、研究開発のあり方を研究してきた。富士通もしっかりと成長戦略の中で利益を上げていかないといけない。費用対効果でどれくらいのリターンを上げられるかは大きなテーマだ。営業利益率5%の壁はなかなか打ち破れなかったが、田中新社長の下で、何とかこの壁をぶち破って頂きたい」

営業出身の田中新社長。写真は今年1月19日の社長交代会見のもの(撮影:尾形文繁)

田中社長「研究開発は富士通の根幹を支えており、積極的に取り組んでいく。IoTなどで事業部門と研究部門が一体になれるように注力したい。コア技術がしっかりすれば、総合力でお客様に向かっていける力はあると考えている」

株主F「かつては売上高が5兆円規模だった。(半導体事業などの)構造改革で売上高が減ったのは仕方ないとしても、企業としての成長が見られないように思う。先ほどの”3本の矢”も抽象的に過ぎる印象だ」

山本会長「売り上げを見ると、確かに全盛期から落ちているところはある。ただ、徐々に回復してきているし、筋肉質になってきている。田中が説明した成長戦略をしっかりとやれば、必ず5兆円規模の企業になるはずだ」

富士通は2015年度を減益予想としながらも、2016年度を最終年とする中期経営計画で、営業利益2500億円、営業利益率5%以上の目標を現在も掲げている。実現を危ぶむ見方もある中で、田中新社長は市場を納得させる具体的な道筋を示すことが急務となっている。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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