光学ガラスメーカー最大手、HOYAの株主総会が6月19日、ベルサール新宿グランドにて開催された。今年の所要時間は1時間50分(昨年1時間50分)。会場に訪れた株主は412人(同561人)。会社提案は、取締役6人の選出が一つ、定款の一部変更が二つ、の計3議案だ。これらはすべて承認された。
ここまではよくある企業の株主総会と大きな違いはない。問題は、HOYA創業者の1人=山中茂氏の孫である、山中裕氏による株主提案だ。山中裕氏と鈴木洋CEO(最高経営責任者)とは、「従兄弟」の関係になる。その山中氏は2010年、会社提案とは異なる取締役選任をはじめとして、15議案を提案した。それを皮切りに毎年、10以上の株主提案を行っている。
山中氏の所有するHOYA株式の比率は、1%以下であり、これまで株主提案が承認されたことはない。が、個別の役員報酬の開示、取締役会議長とCEOの分離など、毎年4割程度の賛成率を達成している提案もある。
「ペンタックスは失敗した買収だ」
今年の株主提案は18議案。内容は、鈴木CEOなど取締役6人の解任とそれに代わる取締役の選任、個別の役員報酬の開示、取締役会議長とCEOの分離などで、例年とほぼ同じである。これらは今年も全て否決された。
質疑応答の前には、山中氏が株主提案を説明する時間が設けられた。そこで山中氏は、2008年に合併したペンタックスのカメラ事業を2011年にリコーに売却した件について、「失敗した買収」と断じた。さらに批判は、鈴木CEOを含め経営体制全般にまで波及。鈴木CEOに制止されるまで、約15分間に渡って持論を展開した。
その後の質疑応答では、終始、山中氏は指名されず。今回の株主提案の共同提案者である文京区議会議員の高山泰三氏と、山中氏の隣に座っていた株主の、計2人が山中氏に代わり、質問する形になった。主な質問は以下の通りである。
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