「昨年11月にお送りした『株主ふれあい通信』でお伝えした総会開催日の予定を変更することになりました。株主の皆様には大変ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」ーー。ワタミの株主総会は清水邦晃社長のお詫びから始まった。
居酒屋「和民」などを手掛けるワタミは6月22日、東京港区のTKPガーデンシティ品川で第29回定時株主総会を開いた。当初、6月28日の日曜日の開催を予定していたが、「2期連続での厳しい業績を重く受け止め、会場費の削減を優先すべき」(清水社長)との理由から、平日開催に変更された。実際、過去2期の業績悪化は急だ。2014年3月期の営業利益は前期比で約7割減。2015年3月期はさらに悪化して、上場以来初の営業赤字に転落。減損損失も響き126億円の最終赤字となった。
9月以降のメニュー戦略を公言
質疑応答に入る前の事業報告では意外な発言もあった。清水社長が「『和民』や『坐・和民』ではメニュー数が減ったという声を聞いており、再度、9月に品数をある程度増やしていく」と、今後の方針を総会の場で明かしたからだ。
ワタミは今年4月、メニュー数を従来の94アイテムから70~75に減らしたばかり。また、料理のボリュームを減らし、1皿当たりの平均単価を約1割引き下げるなど、10年ぶりとなる値下げに踏み切った。清水社長が言及した「品数の拡大」は、新戦略の軌道修正を意味する。
今後の方策を社長があらかじめ説明したものの、株主の質問は4月のメニュー改定に集中した。ある女性株主は、「最近、低価格路線となり、私の大好きだった和民の鮮魚もなくなった。高級ではないが低価格路線でもないという点が気に入っていた。そうしたものを廃止し、選べるものが少なくなったというレベルではなく、メニューを”選べない”という心配をしている」と語った。
これに対し、清水社長は「一度メニューを絞って、スタンダードな営業ができるように改善したが、(9月に予定する)次のメニュー改定ではバラエティあるものにしていく」と説明した。
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